115 2003年11月号
府パブリックコメント制度の検証

政策決定の透明性、府民参画 提出意見1割が策定に反映

 自治体の政策決定は、首長が政策立案し議会の議決を経て実施します。
しかし、府では、政策立案の透明性と府民の意見を取り入れるパブリックコメント制度を平成13年から導入
しています。
 府民生活などに大きな影響を与える各種の条例、規則、要綱や、府の基本的な政策・方向性を定める
計画、憲章、宣言などを対象にし、ホームページや府政情報センターで素案や関連資料などを公表。
府民からの意見は郵便、ファックス、電子メールなどで受け付けます。
これらの意見を考慮し、素案に追加、変更して条例案や計画案をまとめ、議会の議決などを経て実施
するものです。

提出意見8699件のうち998件が採用

 これまでに府が、パブリックコメントにより府民の意見を取り入れた条例や計画などの実施件数は
60件(表)。
実施件数状況
年度 計画 意見数 条例 意見数
13年度 15 4317 4 380
14年度 25 2609 9 392
15年度 7 1001 0 0
合計 47 7927 13 772
寄せられた8699件の意見から政策決定に反映されたものは、998件(内訳・追加536件、変更457件、
削除5件)にのぼり、一定の成果があがっています。
しかし、その一方で多くの課題も残されており今回は、パブリックコメント制度を検証します。
 実施件数60件中で、「大阪府行財政計画素案」が2382件、「大阪府総合計画案」が1452件、
「健康おおさか21案」が1004件も寄せられたのに対し、「第7次大阪府職業能力開発計画案」など4件に
まったく意見がなかったケースがありました。
 広報の仕方やタイトルだけでは、よく理解が出来ないのではないでしょうか。
「大阪スマートICカード活用指針案」等は、タイトルだけでは理解が出来ません。
内容が難解な案件にはネーミングにも工夫し、わかりやすくしなければなりません。
 また、「ホウ素等の排水基準の設定等案」や「旅館業の入浴施設における浴槽水の水質基準の
追加」等は専門的で住民に意見を求めること自体に無理があります。
対象となる案件の選定基準を明確にすべきです。
 また、地方税、使用料、手数料など受益者負担を求めるものは、反対意見だけになると予測され、
パブリックコメントから除くことになっていますが、これらも対象にするよう検討すべきです。
府では、府民の皆さんから意見を聞く手だては、府民情報課のネットパル、知事への提言広場、広報課の
電子会議室がありますが、パブリックコメントの担当窓口は行革室です。
広く府民の声を聞くならば担当窓口を一体化すべきでしょう。
 寄せられた意見は内容別に分類し、各意見に対する府の考え方、意見の採用、不採用の理由を
分かりやすく府が公表することで、府民の皆さんにパブリックコメント制度が定着していきます。
 パブリックコメント制度は、住民にとって政策決定の過程から参画できる貴重な手段であり、自分たちの
生活に身近な問題は住民自らが決めるという地方自治の本来の趣旨を生かせますので、ぜひ大阪府の
ホームページをご覧下さい。そして、ご意見をお寄せ下さい。


主治医以外の意見を聞けます 府立5病院でセカンドオピニオン制度実施

 大阪府は11月1日より、現在、診療を受けている主治医以外の専門医から診断や治療方針について
意見を聞く「セカンドオピニオン制度」を府立5病院で開設しました。
より専門的な医師のアドバイスを聞き、最適な治療を納得して受けたいという患者や家族の要望にこたえる
ものです。
 完全予約制で、本人の診療を行わず、現在診療を受けている主治医からの病状説明書等に基づき
病状説明書やレントゲンフィルムなど検査・病理診断データを提出してもらう。
それをもとにして専門医が患者本人か家族と面談し、診断や治療法について意見を示すものです。
 患者1人当たり30分間の相談時間を設け、料金は1回7400円。
府議会公明党が導入を強く求めてきたものが実現したもので、公立病院としては全国的にもまだ少なく
近畿では初めてです。
同制度を導入する5病院は、
急性期・総合医療センター(住吉区)、
呼吸器・アレルギー医療センター(羽曳野市)、
成人病センター(中央区)、
母子保健総合医療センター(和泉市)、
身体障害者福祉センター付属病院(堺市)です。



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