139 2005年11月号
府立5病院の独立法人化

早急な全面業務委託で削減 請求漏れ、滞納対策で収益向上

 府は@急性期総合医療センター(住吉区)、A呼吸器アレルギー医療センター(羽曳野市)、
B精神医療センター(枚方市)、C成人病センター(東成区)、D母子医療センター(和泉市)の5病院を
経営しています。
しかし、5病院の医業収益439億円に対し、医業費用は557億円で118億円の赤字。
公共性からと府一般会計から毎年、約140億円を繰入しています。
法人税等の負担もなく、民間病院とは比較にならない「厚遇」を受けていますが、それでも不良債権額は、
約60億円。
公立病院ブランドだけでは生き残れない時代です。
 府は5病院を18年4月から都道府県では全国初の地方独立行政法人化に踏み切りますが、法人化で
自然に改革できるのでなく法人化のメリットを最大限に生かせる体質改善に着手すべきと、10月17日の
健康福祉委で指摘したことを報告します。
民間で出来るものは、職員がする必要がなく、現業部門の@医事請求、A臨床検査、B給食(調理・配膳・
食器洗浄)、C清掃、D警備、E駐車場管理、F設備管理、G洗濯、H洗浄滅菌、Iオペレーションなどの
業務は、民間に委託できます。
呼吸器アレルギー医療センターで本年度、朝食調理を委託したところ、直営時の3920万円から1390万円で
委託でき2530万円が削減できました。
全病院の委託率は5割程度なので、更に削減が期待できます。
病院給食は、「美味しくない」が定番ですが、病院も公立、民間問わず大競争時代、高度医療技術と共に
患者サービスとして「美味しい味への改革」も必要でしょう。
 法人化により、物品調達を単年度から複数年契約が出来ることから、医療品や診察材料の調達を
全病院で早急に複数年契約し、大幅なコスト削減を目指すべきです。
 収入確保も大切なことです。
診察滞納額と請求漏れの有無を指摘したところ、診察滞納額も年間2億8000万円。
カルテ、処置せんの記載漏れ、事務ミスなどによる請求漏れが呼吸器アレルギー医療センターの
一ヶ月分だけのレセプトで約2割の請求漏れが明らかになりました。
5病院合計すると1億円以上になると推定されます。
 未収金の発生防止と患者の利便性から、クレジット支払いやATM機設置、口座支払いを提案。
また、受診待ち時間の長さを和らぐため、待合室にいなくても呼び出しがわかるセンサーの無料貸出も提案。
これらの指摘は来年2月議会に明らかにされます。


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