143 2006年3月号
新小学生防犯ブザー支給困惑 市町村の大半が配布済み
 太田房江府知事は、1月19日の定例記者会見で小学生の安全対策と「こころの再生」の府民運動として、
4月から府内小学一年生全員に「防犯ブザー」を配布することを発表しましたが、多くの疑問があります。
「防犯ブザー」が「こころの再生」にどうのように繋がるのでしょう。知事は、「子供、保護者や学校関係者に
命の大切さを改めて意識させる趣旨です」と説明していますが、皆さんには理解できるでしょうか?
 小学生の安全対策とするならば、府の施策でなく市町村レベルの事業です。本来、防犯ブザーの
貸与制度は教育委員会の範疇であり、知事が得意げに記者会見で発表するものではありません。
記者からも「知事のパフォーマンス」ではと見られています。
 既に、府内の市町村の小学校では、松原市以外、16年度からすべて配布・貸与されています。
小学校単位では、1030校中692校、67.2%に配布されているにも係わらず、府が重ねて2年遅れで配布
することは理解できません。記者会見での配布対象は、大阪市を除く府内小学1年生6万3000人と
府立盲・聾・養護学校全員1570人。予算は1個400円で2582万円を計上しました。
 しかし、2月7日の府教委報告では、大阪市を含む新一年生全員8万4000人、府立盲・聾・養護学校と
府内の養護学校の自力通学生2200人、私立の小学1年生1400人の計8万7000人に拡大されています。
何時の間にか大阪市も対象になっています。16年度から実施した学校警備員派遣事業は政令市で
あるからと大阪市を除きました。政令市への補助基準が曖昧で、事前調整もできないドタバタの決定は
「思いつき」と言われてもしかたありません。
 2月15日の入札価格を見ると1個129円。総額約1199万円です。当初予算の1/3の費用です。
今回は予算消化のため大阪市を対象にしたのは明らかです。
迷惑なのは市町村です。既に使用されているブザーと違う機種であること(ホイッスル等もある)。
配布対象が新一年生のみで2年生以上には何故ないのか。平成18年度の1年限りの支給であり
来年以降は市町村が購入しなければならないこと等、対応に苦慮されています。
 今までも、府は新規モデル事業を華々しく発表し市町村に予算配分しますが、3年目以降は補助金を
打ち切ります。市町村では直ちに中止するわけにも行かず、市予算で継続しなければならないため
評判は良くありません。今回の唐突な防犯ブザー配布は象徴的な事業です。政調会で補助金に
すべきと提案しましたが入札に入っていました。知事は市町村の意見を率直に聞くべしです。


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