149 2006年9月号
大阪府庁舎建て替え PFI導入可能性調査を提案

本館耐震補強か新庁舎建設か
 築後80年の府庁舎本館は震度6強で倒壊の恐れがあることから、「耐震改修か、建て替えるかを秋頃
までに方向性を定めるので議会と議論したい」との府からの申し入れを受け、府議会で庁舎整備検討
委員会を設置し野村総研による委託調査結果を踏まえ6回にわたり議論してきました。
本館耐震補強工事のみの財政負担は、試算では1200億円に上ることから、50年後に再び「建て替え議論」を
するならば、先送りせずにこの機会に建て替え計画案を議論すべきです。
 調査では「本館の耐震改修」のみか「新庁舎建設」のいずれの場合も府有地を売却することを前提にして
います。将来にわたって有効利用できるシンボル的な場所を売却しなくすむような手法に知恵を絞らなくては
なりません。
 土地売却価格350億円に対し定期借地価格が295億円とされていまするが、大手デベロッパーによると
固定資産税を除けば50年の定期借地価格が売却価格より高くなるとされています。

民間の知恵PFI手法で負担軽減
 また、庁舎は自前で建設する従来手法では起債借入で建設期間中の多額の支払いが発生するのに対し、
PFI手法は割賦払いで負担の平準化が図れます。
 PFIの目的は、@民間資金の活用、A民間経営能力の活用、B民間の知恵、技術力を結集することで、
自治体の財政負担を軽減することにあります。
 今回のPFI方式は根拠となる数字が推定値であり精度の高いものでなく、実行するPFI事業者が存在するか
どうかも疑問です。新庁舎建築費の30年割賦払いにすぎず、本来のPFI手法がもつ効果が生かされて
いません。

実効性のある民間手法を議論すべき
 民間施設と合築による高度利用、遊休の府有地の民間土地活用などの手法を使えば府の負担は大幅に
軽減できます。
PFI手法の良し悪しを吟味するため、精度の高いPFI方式の提案が必要です。
より実効性あるPFI手法を検討するため、府庁舎建て替え事業プロジェクトに参加希望する民間事業者の
プロポーザルをうけるPFI導入可能性調査を行うことを提案します。
府がPFI導入可能性調査の要項を作成し、年度内にも公募し、民間事業者から実効性のある提案を
受けてのち、知事部局のもとで方向性を示し庁舎整備検討委員会等で建て替えの是非を議論し、結論を
見いだすべきです。

府庁周辺まちづくりのシンボルを
 また、府庁本館の保存は、民間事業者のプロポーザルの結果を基に府民や関係団体の意見を聴取し
方向性を定めればよいでしょう。
 あわせて、府庁舎周辺は大阪城観光のスポットなど大阪のシンボルがあるが、多くの官庁施設が逆に
周辺の活性化を妨げているケースもあり、府有財産のいっそうの有効活用とまちづくりの視点も
いれなければなりません。
新たな庁舎整備に合わせ、官庁棟の上層階に、府民が利用できる大阪名物のグルメ街、即売店、
若い人の待ち合わせスポット等の収益スペースを併設させるPFI方式を導入することで府の財政負担が
軽減できる発想も大切です。
 府有地を集客施設や大阪城観光の大型バス駐車場、土日のイベント広場などに活用するなど、
府庁界隈のにぎわいを創造することは大阪府の責務と考えます。


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