150 2006年10月号
障害者自立支援法

利用者負担軽減措置を拡大せよ 施設の事業運営支援が急務

 平成12年社会福祉法が改正され、障害者が、自治体が認めた事業者でサービスを受けることができる
措置制度から利用者(障害者)が事業者を選び契約する支援費制度に平成15年から変わりました。
ところが、支援費制度では福祉サービス基盤が万全でないなかで利用量が増大し各地で混乱が起こり
ました。利用量やサービスの目標量の予測を誤った厚生労働省の責任は重たいと考えます。
 これにより年間200億円以上の財源不足が生じたため、僅か2年足らずで支援費制度を改め平成17年
10月に障害者自立支援法を成立させました。
障害者が自立できるよう必要な福祉サービスを提供する制度と言われましたが、実施主体の市町村にも
詳細な内容が提示されないまま今年4月に施行されました。
 全面実施の10月直前になってようやく全容が明らかになり、私どもに「利用者の1割負担は重度の障害者
ほど負担が大きくなる、障害認定区分の基準が不明確、作業所工賃より利用負担金が多い、就労支援の
確保」など利用者や事業者から厳しい意見が寄せられました。「自立支援」でなく「自立負担」と思えるほど
です。
障害児通園施設保護者から要望
 9月21日には、大阪府庁で未就学の障害児を抱え
通園施設(府内28通園施設)を利用する保護者代表と
一緒に、大阪府健康福祉部に障害者自立支援法に
関する要望を行いました。
 保護者からは、通園施設利用料や食費代が若い世帯の
経済的負担の増大に繋がることから、減免措置が受け
られない一般世帯の所得基準を段階的に分けてきめ細かな
利用料の設定、各家庭の実態を踏まえた適切な月額
上限額の設定など切実な意見が寄せられました。

【写真】南部英幸・府福祉政策監(右から5人目)に要望する
枚方市立すぎの木園、大東市立療育センター、大阪市都島
こども園、貝塚市こどもデイケアいずみ、寝屋川市立
あかつきひばり園の代表者

厚労省が負担軽減追加を決定
 今まで障害者団体や事業者からの意見を聞き、公明党国会議員を通じて厚生労働省に自立支援法
見直しを訴えてきた結果、厚労省から8月24日に追加措置が発表されました。
 内容は@通所施設に通う未就学障害児の負担を保育所の保育料程度に、A入所施設の障害児で、
市町村民税2万円未満世帯(年収300〜400万円程度)の負担軽減。具体的には、通所施設利用者では
市町村民税非課税世帯で月1万2600円から9040円に、市町村民税(所得割)2万円未満世帯で月2万
8700円から2万500円に(09年3月末までの経過措置)。入所施設利用者の場合、市町村民税(同)
2万円未満世帯で月4万5000円から1万9600円に軽減。
 施設運営の安定化では、グループホームの利用者が入院や帰宅をした場合の加算措置を新たに
創設、通所施設の職員が継続して通えない利用者宅を家庭訪問した場合は報酬上、評価を行う
などの措置が追加されました。
 利用者の負担軽減や施設の事業運営への配慮が図られ一定の評価をしますが、まだまだ一部であり
現場の不安は消えていません。今後も、国・府の連携で負担軽減措置の拡大に取り組んでいきます。
トータルな社会保障制度で改革
 少子高齢化がさらに進む中で、年金、医療、介護など社会保障制度と合わせ安定して運営できる
制度にすることです。
 高齢者の世代を現役世代だけで支えるわが国の社会保障制度には一定の限度があり、社会保障制度を
全世代で守っていくことに制度改革の必要があります。
制度改革には、低所得者層や障害者世帯に十分配慮しなければなりません。
 自立支援法については、公明党はあらゆる機会に負担軽減策を政府に迫ってきました。自立支援法
自体は、障害者の福祉サービスの給付を将来にわたって拡大していくために必要ですが、現場の声を反映
させることが重要です。
また、政府に支援を求めるだけでなく、府や市町村でも、地域の実情に合わせた利用者負担軽減、施設の
事業運営支援など自治体独自の取り組みをする必要があり、働きかけていきます。


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