166 2008年4月号
入りを図りて出を制す

府庁舎有効利用で歳入図れ 自販機公募で3億円の増収

 民間会社が営業努力して売上げを伸ばしても、利益は売上げのうち数パーセントですが、お役所は「売り上げ」はすべて税収で100%が利益です。民間会社は収入に全力をあげますが、お役所には「営業売り上げ」という発想はありません。
 橋下知事の言う「収入の範囲で予算を組む」ことは難しいことでなく、事業を行わず予算を使わなければ黒字になります。
「入りを図りて出を制す」の言葉どおり、これまで、お役所にも歳出削減と同時に、知恵を絞って歳入を増やす発想が必要と議会で訴えてきました。

【写真】総務常任委員会で、橋下知事(右)から自販機による増収確保の答弁を受ける(左中央)。3月24日
 業者が府庁舎に置いている自動販売機の使用料は、1台で年間約1000万円を売り上げる自販機もありながら、1台に付き年間8700円と17300円。安い使用料の根拠は、職員の福利厚生施設としているからです。
府庁舎や施設は、お役人のものではありません。府民の財産です。
貴重な財産をもっと有効に活用するため、自販機の公募入札制を導入し、増収を図れと平成18年5月の一般質問で提言しました。
 その結果、今年の4月から、大阪府で設置している全自販機1100台のうち、契約期限が切れた329台(年間使用料529万円)を公募入札したところ、3億15万円になりました。1台当たり平均91万円。2億9475万円増収。(下図表)
新聞各紙やテレビでも紹介され、他の自治体からも問い合わせがあり大きな反響です。
これだけの増収が図られたのは、以前の売り上げ実績を公表して入札したことです。お役所の知恵が功を奏しました。
引き続き215台を公募入札する予定で、少なくても9700万円の増収が見込まれます。
2年前に提案したにもかかわらず、知事の「財政非常事態宣言」にもかかわらず、反応しない部署がありました。
都市整備部が管理する府営公園17カ所に215台が設置されていますが、1台で売り上げの多いのは、深北緑地のスポーツハウス前934万円、浜寺公園のレストハウス前667万円。1台当たり平均110万円の売り上げがあります。その使用料は1台当たりわずか1100円で年間45万5000円にすぎません。
 今回の総務常任委員会で追及したことで、ようやく府は契約が切れる20年度末に公募入札導入を決定、5000万円以上の増収見込みを表明しました。
 ごみが散乱する。夜間に子供たちがたむろするとして府営住宅には、設置していませんでしたが、今回の指摘により、住民の利便と増収を図るため今年度中に導入することが決まりました。
府営住宅377団地、府住宅供給公社131団地に、それぞれ3台ずつ設置しても約5億円以上の収入が見込まれます。また、入札には、府営住宅の自治会や零細業者等も参加できるよう提案しています。
府有地の売却で600億円の増収
 公の施設の見直しも必要だが、活用しない府有地を売却することが、府有施設売却よりも即効性、現実的、効果的です。現在60ヘクタールのうち40ヘクタールが売却可能で、19年度地価公示価格の住宅地15万8800円から試算すれば632億円にのぼります。府行財政計画では、20〜23年度4カ年で毎年65億円の計260億円の売却を見込んでいますが、価格見直しや民間委託の手法を活用し、スピードをあげて売却することを提案しています。
【20年度公募入札の予定施設】
府庁本館(3)、公衛研((1))、府立健康科学センター (1)、計量検定所(1)、芦原技専校(2)、東大阪技専校(1)、南大阪技専校(1)、水産試験場(1)、北河内府民センタービル(2)、中河内府民センタービル(4)、南河内府民センタービル(2)、泉北府民センタービル(5)、北部水みらいセンター(1)、南大阪湾岸下水(1)、鴻池水みらいセンター(4)、渚水みらいセンター(5)、川俣水みらいセンター(4)、南部水みらいセンター(1)、今池水みらいセンター(2)、大井水みらいセンター(2)、府立漕艇センター(1)、府立臨海スポーツセンター(17)、府立門真スポーツセンター(16)、府立体育会館(4)、警察署(133)の計215台
■□■議会のことば■□■
議事録削除・・・議事録の削減は、会議規則第62条(発言の取り消し又は訂正)の「議員は、その会期中に限り、議会の許可を得て自己の発言を取り消し、又は議長の許可を得て発言の訂正をすることができる」が根拠ですが、議員を対象としており知事や理事者の発言まで想定しておらず、今回は議長裁定で削除されました。


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