167 2008年5月号
府財政再建プログラム試案

市町村事業運営に大きな影響 1100億円削減根拠の議論を

 橋下徹大阪府知事が、収入の範囲内で予算を組むとの公約を実現するため、知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、「府財政再建プログラム試案」を取りまとめました。試案によると、平成20年度は1100億円の歳出削減(431項目)を目標に、全事業2880項目をゼロベースで見直し、一般施策で330億円。建設事業70億円。人件費300〜400億円の削減。歳入等の確保300〜400億円としていますが、歳入が400億円確保できれば人件費が300億円ですむ計算になります。
 また、府立27施設のうち、廃止8、集約・多機能化4、共同運営3、民営化4、移転1、存続7とし、46ある出資法人は、廃止7、統合3、民営化6、府に事業移管6、自立化15、存続9法人としました。
 無駄な事業や役割の終わったとされる事業は当然に削減されなければなりません。
将来の見据えた健全な府政運営を行うためには痛みも致し方ありません。しかし、府民に極端な負担を求めることや市町村の事業に混乱をきたすことは避けなければなりません。そのためには、単なる削減ありきでなく、1100億円の削減根拠や本当に府債発行がゼロなのか議論をしなければなりません。
 今回のPT案では、市町村への影響が大きく、補助金などは平成20年度では29事業廃止で10億2400万円の歳出削減を見込み、さらに減額や見直しを含めた削減額は約45億円にのぼります。市町村の事業は福祉や教育に影響するものが数多く含まれています。
 たとえば、老人・障がい者・乳幼児・ひとり親家庭を対象にした4医療費助成制度は、現行自己負担額500円×2回で月2500円が上限に無料となるよう助成していますが、PT案は、かかった医療費の1割負担となり2500円の上限を残すため、2500円以上は市町村役所に還付申請をしなければならず、そのたびに役所に手続きすることは障害者や高齢者に負担を求めることになります。市町村の還付事務が膨大になることやシステム変更経費も発生します。また、11月実施することから医療機関への周知徹底すらできません。
 街かどディハウス支援事業も府が市町村に提案した福祉事業であり、NPOなどの民間団体が運営しており、すでに事業が開始された年度途中の減額は、市町村が負担することになり、少なくとも今年度は継続して行うべきです。しかし、市町村もこの機会に全ての事業の総点検を行い、発想を変え、自立化、広域化、共同事業等を目指すことも必要です。
 今後のスケジュールは、5月末に、公開で知事と部局長が最終協議し、6月上旬に知事から財政再建プログラムの成案がまとめられす。6月9〜10日の府議会政調会に説明され、7月1日から始まる府議会本会議を経て23日の最終日に決定します。
 橋下知事を誕生させた立場ですが、府民生活に支障がきたす議案ならば是々非々の立場で反対の態度をとらなければなりません。


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