168 2008年6月号
橋下知事の大阪維新プログラム案

削減回避に歳入確保が重要 私学、人件費は評価基準明確に

橋下徹知事は5日、今年度1100億円の収支改善を図る大阪維新プログラム案を発表しました。歳出削減額は665億円。内訳は一般施策経費245億円、建設事業費75億円、職員人件費345億円。残り435億円は、歳入確保と起債(退職手当債)を充当する最終案(以下表)です。全容は大阪府ホームページに掲載されていますからご覧ください。
 就任からわずか4ヶ月というスピードでこれだけのボリュームの見直し行ったことは高く評価します。しかし、大阪維新案の大部分は「削減」が占め、府民の負担を求めていますが、「削減の改革」の先にどのような将来像があるのかが示されていません。
 削減を回避するには、歳入の確保が重要です。今回の大阪維新案では、@府有財産の売却、A市町村施設整備貸付金の繰上償還、B各種基金の活用、C出資法人への貸付金の繰上償還や財産売却、D自動販売機設置にかかる公募の実施をあげています。
 私が提案した府有地の売却(151億円)、自販機設置の公募(5億円)が今年度の歳入案に明記されましたが、景気に左右されやすい法人2税に依存する府の体質から脱皮するには、徹底した歳出削減とともに、税収だけに頼らず民間企業の発想で、全府庁が新たな歳入を確保する努力をしなければなりません。
また、今回の削減案の大半が一律カットです。私立学校の経常費助成は小中学校25%、高校10%、幼稚園5%の削減です。
高校授業料では最低32万4000円から最高90万円の格差があります。保護者負担を軽減するため運営努力で授業料を低く抑えている学校への評価をせずに一律カットするのは、今回の見直しの基準である「費用対効果」から妥当とはいえません。私学は運営費の約3割を経常費助成に頼っており授業料値上げや募集規模縮小につながります。
 職員人件費削減は議員歳費も含め当然行わなければなりません。知事30%、特別職18〜20%、管理職12〜16%、非管理職4〜10%と一律カットです。特に医師不足のなかでの一律カットは、更に保健所や府立病院の医師不足に拍車をかけるでしょう。
 知事が能力評価主義を主張するなら、一律カットでなく、評価基準を明確にして府民にも理解を求めるべきです。給与カットだけでなく、職員数削減や50億円を超える特殊勤務手当の見直しも必要です。その他にも高齢者事業など府民生活に影響のでる多くの削減があり、7月臨時府議会がヤマ場です。



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