172 2008年10月号
政権選択

基本政策の具体的財源を示せ 民主に安定政権が担えるのか

  読売新聞社が10月4〜5日に全国の有権者3000人を対象に実施した世論調査によると、「民主党に一度、政権を任せてもよい」と思う人は58%、そうは思わない人は38%。「政権担当能力」は、自民党にあるが67%に対し、民主党にあるが46%、無いも47%あり、ほぼ二分しています。読売新聞では、「民主党の政権担当能力の有無にかかわらず、与野党の政権交代を容認する今の有権者の“気分”がうかがえる」と指摘しています。
 調査結果から思うのですが、民主党内では、憲法解釈や外交、安全保障などの国の基本政策に意見が統一されておらずバラバラな状態で、政権を担えばたちまち破綻する可能性があります。
 民主党の出されたマニフェストの政策や財源には多くの矛盾があります。
たとえば、「高速道路料金を無料化」すると言われていますが、高速道路の料金収入は年間約2,5兆円。このうち旧道路公団からの借金40兆円を返済に毎年1兆円。残る1,5兆円を道路維持費に当てています。料金収入が無くなれば、40兆円の借金はどう返すのでしょうか。税金で返済となれば、自動車を持たない人の税金からも、高速道路の借金返済に当てなければなりません。
 また、中学3年生まで月額2万6000円を支給する「子ども手当」の創設も、財源は扶養控除の廃止です。扶養控除をなくせば、子ども手当をもらえない高校生、大学生を抱える世帯にとっては、実質的な増税となります。
我が党が実現させた児童手当とどこが違うのでしょうか。具体的な説明が必要です。
ほかにも、1兆円に上る農業の戸別所得補償制度の創設、2,6兆円のガソリン暫定税率の廃止など、民主党のマニフェストは財源の裏付けが無く、より具体的な説得力ある説明を欠いたままでは「絵に描いたもち」です。
 麻生太郎首相と小沢一郎代表への印象の調査では、首相は「良い印象」が57%、「悪い印象」は36%に対し、小沢氏の「良い」は35%にとどまり、「悪い」は59%でした。
「民主党に政権を任せてもよい」という人でも、小沢氏への印象は「良い」49%、「悪い」45%と評価が二分しています。
 この一年間でも、大連立政権を持ちかけ反故(昨年11月)。ガソリン税暫定税率の期限延長で議長斡旋を反故(今年1月)。日銀総裁人事の反対で金融界が失望(3月)など政局を混乱させた小沢氏への批判が党内でも高まっていると言われています。
党利党略を優先させる対立手法を用いるのでなく与野党を超えた協議を優先し、厳しい日本の難局を乗り越えるべきです。
 大連立騒動が頓挫し、辞意表明した小沢代表は記者会見で、「民主党は、さまざまな面で力量が不足している。国民からも『本当に政権担当能力があるのか』という疑問が提起され続けている」と言われた党首の言葉を忘れられたのでしょうか。
 日本は今、世界金融危機のなかで安定した政治が求められており、混迷が明らかな小沢政権でなく、生活者の政治をめざす政権でなければならないと考えます。


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