173 2008年11月号
京阪中之島線開通

中之島地域の活性化に大きな期待 西九条駅までの延伸課題に挑戦


【写真】中之島線開業から導入された新型
車両(3000系)
京阪天満橋駅から中之島駅間(約3`)の京阪中之島線が10月19日に開業しました。
 中之島地区は、大阪市北区の堂島川と土佐堀川に挟まれた東西3キロの中州で、水運に恵まれ江戸時代は90以上の蔵屋敷が集まっていたといわれるほど天下の台所を支えた流通・金融の町で経済の中心でした。
現在もビジネス街と共に、国立国際美術館、大阪市立科学館、中之島公会堂などの文化施設が点在しており新たなエリアとして期待できます。リーガーロイヤルホテルや大阪国際会議場は、中之島駅と直結し京都の中心地に1時間で結ぶメリットは大きく、外国観光客や国際会議などの集客が期待できます。
中之島駅北側には、多目的ホールや飲食店のあるほたるまちが既にオープンしており、これからも京阪と大林組の共同で外資系ホテルの入る複合ビル、関西電力とダイビルの超高層ビルなどの建設予定や再開発計画が進んでおり水都大阪のまちが生まれます。
また、淀屋橋、大江橋が重要文化財に年内にも指定されるのも朗報です。中之島界隈が、東京都のお台場に比肩するエリアにしなければなりません。
 都市部の鉄道建設費は多額で、今回の総建設費は1503億円。そのうち768億円は国、大阪府、大阪市が負担。府や市が出資した第3セクター・中之島高速鉄道が線路を保有し、京阪が毎年、線路使用料として25億円を3セクに支払う「償還型上下分離方式」を採用し、京阪の負担軽減できたので完成しました。
新線の乗降客は1日平均7万2000人で32億円の収入予測。(財)大阪地域振興調査会の試算では、2010年から20年の経済効果は個人消費だけで約3600億円を見込めるとしています。
 来年3月20日開通する阪神なんば線は、阪神西大阪線の西九条駅から九条、ドーム前、桜川の3駅を新設し、近鉄難波駅と結ぶ路線。相互乗り入れで阪神三宮と近鉄奈良の所要時間は約1時間20分で大動脈となります。中之島駅で「行き止まり」のため、JR・阪神の西九条駅まで延伸すればさらに大きな経済効果が期待できますが、国土交通省の近畿地方交通審議会は西九条駅までの延伸を位置づけていますが具体的な動きがありません。
 3月15日に開通したJRおおさか東線(放出〜久宝寺間約9,2キロ) の総建設費1200億円を回収できるのは、早くて半世紀近く先になると言われています。
財政難の府や大阪市からの負担を伴う「償還型上下分離方式」の負担割合の改善や採算性も含め事業化に向けて政府へ積極的に働きかけていきます。


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