184 2009年9月号
09年総選挙の検証

民主マニフェスト財源確保を 自民批判票の受け皿が民主に

 8月30日の第45回衆議院総選挙は、民主党の圧勝で終わりました。これまでの民主党は112議席から308議席に、一方の自民党は303議席が119議席に激減し、歴史的な政権交代が起きました。皆さんにお世話になりました公明党は、太田昭宏代表、北側一雄幹事長はじめ8小選挙区に立候補しましたが、全員が比例区に重複していないため落選、比例区21人の当選となりました。自民大敗、民主圧勝の原因、今後の政権の行方を検証しました。

■ 小選挙区比例代表並立制の課題 ■
 今回の総選挙は、1996年に導入された小選挙区制のもとで、野党が単独過半数を占め政権を樹立したのは憲政史上初めてで、小選挙区制の特長が現れた選挙でありました。
民主党新人議員は143人。4年前の郵政選挙で小泉チルドレンと言われる83人の新人議員が誕生したのと同じ現象です。
 比例東海ブロックでの珍事。「みんなの党」が1議席を確保しましたが重複立候補者の得票が足りず、民主候補で名簿搭載順位最下位41番目の43歳のフリーターが当選、公示3日前に民主参院議員から頼まれたそうです。
また、民主の34歳の眼科医は8月26日に勤務先の米国から帰国し4日間だけ選挙運動して当選。他の選挙区でも茨城7区では3人も当選。福井・石川県では自民と民主の全候補者が当選するなど選挙区と比例代表の重複立候補制には有権者の民意が反映されない面があり、改正する必要があります。

■ 民主圧勝の検証 ■
自民党への不満
 小泉政権以降、この3年間で安倍元首相、福田前首相、麻生首相と3人の首相が変わる異常事態です。昨年9月の自民党総裁選で圧勝した麻生首相時代には、中山国交相、中川財務相、鳩山総務相、鴻池官房副長官の辞任という不祥事続きました。さらに麻生首相の失言、誤読や年金・医療などの政策のブレが輪をかけ、党内で「麻生おろし」が表面化、自民党のゴタゴタ騒ぎに国民の不満が頂点に達したと考えます。
 社会全体の閉塞感から、変えてみようという「うねり」が、自民党に対する積年の不満の受け皿として、民主党に投票したというのが、メディアの調査でも明らかになっています。つまり、自民党にお灸を据えた結果と言えます。

民主マニフェストの評価
 今回の民主党のマニフェストは、政権が転がり込んでくるとは思わない非現実的な政策であったと思います。
朝日新聞の全国世論調査でも、民主党の1人月2万6000円のこども手当を支給することには31%が賛成、反対は49%。高速道路の無料化も賛成は20%、反対は65%にのぼります。
 今回、マニフェスト選挙と言われましたが、民主党のマニフェストを評価し、政権交代を望んだのではないといえます。

共産148小選挙区に不出馬
 共産党は、これまで全小選挙区に候補を立ててきましたが、今回は152小選挙区に絞り込んだため、共産候補のいない小選挙区では、大半が民主候補に流れ、結果的に民主党を有利にしました。

■ 新政権に望むこと ■
マニフェストの実現
 この16日には、新政権が誕生し、鳩山首相、小沢幹事長が誕生します。鳩山氏には「故人献金問題」、小沢氏は「西松建設献金問題」をかかえており、国民に説明責任を果たしたとは言えません。新政権のもと民主のマニフェスト にあるように、「政治とカネ」透明化を自ら早急に行うべきです。
 民主党のマニフェストは低い評価ですが、子育て世帯など、期待して投票した国民もおられます。政策的に政権を担う準備の出来ていない状態でも、政権を取った以上は、打ち上げた政策を実現させる責任があります。
 そのためには、これまでに指摘されてきた財源の裏づけを明確にしなければなりません。主な政策だけで10年度は約7兆円の財源が必要になり、予算の無駄遣いでだけで財源確保が出来るとは思えません。

小沢一郎氏の二重権力
 小沢氏が幹事長に就任され、党人事や財務以外に、国会運営や国会人事まで委ねると報道されています。小沢氏が強い影響力を発揮することで、鳩山政権の運営に影響を及ぼすのではないかと警戒する声が聞かれます。
細川政権のように、鳩山氏と小沢氏の二重権力闘争が生じるようなことになれば、日本の再生への道も閉ざされます。
 政権交代が目的化され、中長期的な展望が示されないまま、多数の議席を得て政権交代がおこなわれたので、期待にそぐわないと逆の変化になることも考えられます。来年夏の参院選がひとつのヤマと思います。

■ 今後の公明党 ■
 連立政権のパートナーである公明党は、自民党と同じように見られ、自民党への強い逆風のあおりをまともに受け、自民票を十分に取り込めなかったことが敗因と考えます。
しかし、10年にわたる政権与党のなかで、生活者の視点で現実的政策を立案し、着実に実行し、政治責任を担った経験は、単なる批判的野党でなく、実行可能な政策実現できる政党として国民の皆さんに貢献できると確信しております。来年夏の参議院めざし、これからも皆さんからご理解して頂けるよう頑張りますので、ご支援をお願いいたします。



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