190 2010年2月号
鳩山政権支持率急落の原因

高速道路無料化・暫定税率・こども手当 「カネ問題」と「マニフェスト破り」

 鳩山政権が発足して4ヶ月、支持率は発足当時の70%台から40%台に急落、その原因は、鳩山由起夫首相と小沢一郎幹事長の「カネ問題」と民主党の「マニフェスト破り」にあるのではないかと考えます。
 鳩山首相は、平成20年迄の7年間に、実母から全く知らなかった11億7000万円を受け取り、表面化すると贈与税約5億7500万円を即金で支払う感覚は庶民には理解できません。
 小沢幹事長の土地購入費4億円の出所も、19年は政治献金、21年は定期預金担保、22年は個人資産とクルクルと変わる理由に多くの国民は不信を抱きました。それ以上に、昨年の衆院選で掲げたマニフェストの目玉公約がことごとく実行されなかったことにあります。

◆ 高速道路無料化 ◆
 2月2日に発表された無料化は、今年6月から来年3月まで社会実験として、地方を中心に37路線50区間1626qが対象で、首都高と阪神高を除く高速道路全体の18%にすぎません。 虫食い状態で散在しており、有料と無料区間の区別が複雑でわかりにくく、大混乱が予測されます。
 マニフェスト工程表では、22年度から段階的に開始し、24年度から完全実施するとしていますが、その場合、2兆円を超える財源をどうするのか、不要となる料金所やETCをどうするのか明確ではありません。
 鳩山首相は8日の衆院予算委で、24年度の完全実施を先送りする可能性を示唆しています。

◆ 暫定税率廃止 ◆
 野党時代の民主党は、ガソリン値下げ隊まで立ち上げ暫定税率廃止を目玉公約にしていたにもかかわらず、「新税」に衣替えをして実質維持することにしました。ガソリンが1gあたり25,1円値下げになると期待し、民主党に投票した方への詐欺行為です。

◆ 子ども手当 ◆
 子ども手当は、今年6月から1人あたり1万3000円支給されますが、その財源は所得税の扶養控除の廃止・縮減(23年1月)です。
現在の扶養控除は、扶養家族が16歳未満、23〜70歳は、1人当たり控除額は38万円。16〜23歳は、特定扶養控除として63万円ですが、今回、16歳未満の所得税の扶養控除を廃止。マニフェストで存続としていた16〜18歳の特定扶養控除は38万円に縮減になります。
 さらに、住民税の扶養控除も、16歳未満の扶養控除(33万円)を廃止、16〜18歳の特定扶養控除額を45万円から33万円に縮減されます(24年6月から)。19歳未満で定職のない子を抱える世帯などは実質増税になります。
 マニフェストでは、来年度から2万6000円ですが、野田財務副大臣は1月30日、「月額2万6000円では総額5兆円を超す。防衛費より高くなり満額支給について現実的に厳しい」との見解を示しており実現も不透明です。
財源不足を理由に、マニフェストに反する決定は国民の信頼を裏切る詐欺行為です。
 また、沖縄の米軍普天間飛行場移設でも、鳩山総理は、県外移転、国外移設。岡田外相は、嘉手納基地へ統合。北沢防衛相は、名護・辺野古移設と国の根幹にかかわる重要課題で閣内がバラバラです。選挙目当てのマニフェストでなく日本の将来を展望するマニフェストでなければなりません。

■ 関空と伊丹の一体経営 ■
 半径25km圏に関空、伊丹、神戸の3空港がひしめくなかで、大阪府民だけの視点でなく、関西広域から利用しやすい拠点空港のあり方や経営安定化をめざし、先送りせず議論する時機が到来したと考えます。
 橋下知事は、伊丹廃止論を訴えますが、長期的な構想にすぎず、その前に、都心に近い伊丹はキャッシュフローベース収支で営業収益154億円、約43億円の黒字経営を続けています。関空と伊丹の一体経営、経営統合で、関空経営安定化がはかれ、着陸料値下げの原資にもなることから、関空と伊丹の役割分担を明確にして、関西3空港の共存共栄の道を探らなければなりません。



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