196 2010年8月号
超法規で児童虐待防止を 大阪で虐待死急増
 大阪府では、今年の1月から6月で5人が虐待で死亡。全国の18人から見ると多く、7月に犠牲になった西区の姉弟2人を加えると、過去の年間虐待死は平成14年の6人が最多であったが既に上回っています。虐待認知件数399件は、前年同月比184件増にのぼります。
 東京都の調査で虐待する理由は、@経済的な困難、Aひとり親家庭、B夫婦間の不和、C育児疲れ、D親族・近隣・友人からの孤立が、ベスト5を占めていますが、西区のように理解できないケースも増えています。
 早期に発見するため児童相談所の対応が問われていますが、精神衛生の知識のある医師、児童心理士、児童福祉司などの専門職員の数が十分でなく、一般の行政職員で対処せざるを得ないケースが多く、虐待が急増していることから専門職員の確保や人材の育成が急務です。
 20年4月に児童虐待防止法が改正され、児童相談所の緊急時の立ち入りが可能になりましたが、裁判官の許可が必要な氏名不詳では今回のケースでは不可能になります。
警察が立ち入り、児童相談所で保護することも考えられますが、令状なしに強制処分を行う権限を与えておらず、無理があります。
大阪市がこのほど、消防職員を安否確認させる消防法の「人命救助」のための強制立ち入りを適応し、超法規で立ち入らせることを検討していることは大きな評価です。

地域で早期に気付くことが解決です こんな子どもや家庭を見かけたら通報を!

@不自然な外傷(打撲、火傷等)が見られる。A衣服が汚れている、元気がなく表情が暗い。B虚言、万引き、家出などの問題行動を繰り返す。C年齢にそぐわない性的な言動がみられる。D保護者が長期不在でいつも子どもだけでいる。E登校させず、食事を与えられていない。F大声をあげ、子どもや家庭に暴力をふるっている様子が感じられる等、見かけたら児童相談所に連絡しなければなりません。
 児童相談所全国共通ダイヤル0570-064-000
地域の児童相談所(府子ども家庭センター等)につながります。夜間休日専用072-295-8737
大阪市は児童虐待ホットライン0120-01-7285(24時間年中無休)

 また、100歳以上の所在不明者が全国で74人にもいることが明らかになり、親が子供を虐め、子供が親を見捨てる社会にいつの間になったのでしょう。家庭での道徳が失われたのも一因で見直さなければなりません。



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