199 2010年11月号
府議会商工労働委で質問

EVで大阪産ものづくり支援を 津田SHコア代替機能の確保

 10月18日と21日、府議会商工労働常任委員会で質問に立ち、EV(電気自動車)による大阪産ものづくりで中小企業の産業振興や大阪府が開発した枚方市の津田サイエンスヒルズ進出企業への支援について具体的な政策を提案し実現を迫りました。
【EV】電気自動車―エレクトリック・ビークル

大阪府がEVを普及させるため策定した「大阪EVアクションプログラム」の主な事業のうち@急速充電スタンド設置、AEVタクシー50台支援、BEVカーシェアリング、C公用車への導入の取り組みの必要性について質問を行いました。

急速充電スタンド設置は府の役割か?
 府が1碁約600万の急速充電スタンドを17碁整備(10月現在)していますが、府内にあるEV車は142台。急速充電スタンドの利用は、6月から8月の92日間で283回。1日当たり3回にすぎず、なぜ府が急速充電スタンドを設置しなければならないのか、自動車メーカーやディラーが設置するべきでないかと指摘。
 府は、「EVの初期需要創出のため一定の社会インフラの整備が必要。今後は民間ペースの設置を促していきたい」と答弁しました。
 府が自ら充電インフラ整備を行うのでなく、ショッピングセンター、家電量販店、駐車場、コインパーキング等の業界団体に府が設置を働きかける戦略が必要と提案しました。

【写真】あまり知られていない急速充電スタンドの設置
50台のEVタクシー導入効果?
 府はEVタクシービジネスの定着を目指すためタクシー業者に50台導入補助を行うとしているが、府内のタクシー台数は1万8777台。見つけるのに苦労する500円タクシーは1938台。その中なかで50台のEVタクシーを導入しても効果があがるのか疑問だ。一定のエリアを営業範囲とする郵便配送車、宅配便、軽貨物便などの業界に、府がもっと積極的に導入を働きかけるべきでないか。また、府庁には1台も導入されておらず、府の逓送便に導入すべきだと提案。
 府の答弁は、「府の逓送便への導入は担当課に働きかけたい。各種業界にも関係課と連携し導入について働きかける」
3年後のEVカーシェアリング効果?
 府がオリックスと共同利用行うEVカーシェアリングへの補助事業は、来年2月迄に12台、25年2月迄に50台の導入は遅い対応であり効果が期待できるとは思えない。
 長崎県では、今年4月からEV&ITSプロジェクト(エビッツ)と称し、EVと高速道路交通システムを連動させ、五島列島観光に100台のEVをレンタカーとして導入し普及に取り組んでいることから、府もダイナミックな戦略をたてるべきだと提案しました。

【写真】長崎県でも使われている三菱自動車のEV
EVを大阪産業振興に
 EVは、蓄電池とモーターがあれば製作できることから、守口市の淀川製作所がガソリン車からEVに改造するコンバート「メグル」を製作し全国的に注目を浴びました。EVカーは、大阪のまち工場、中小企業のものづくりに繋がります。
 急速充電スタンドやEVタクシー等の細かい事業を推進するのも必要かも知れませんが、EVによる大阪の産業振興にもっと積極的に取り組むべきでないかと言う指摘に対し、府は、「4月から大阪府立大学にEV開発センターを創設した。蓄電池やモーターやシステムの研究をしており、大阪産EVの開発を目指したい。おおさか地域創造ファンドを活用し、EVの技術開発に取り組むものづくり中小企業を積極的に支援したい」と応えました。
 日産自動車が、家庭充電できるEV「リーフ」を今年12月に発売し、24年にはトヨタ、ホンダが発売予定であり、いよいよEVの時代が到来します。近い将来、電機メーカーがEVカーを作り出し、町の電器屋さん、コンビニが車を売る時代が来ると思います。大阪のポテンシャルを生かし、大阪が出遅れることがないようにしなければなりません。
津田サイエンスヒルズまちづくり協 府立高等職業技専校との連携・協働を
 大阪府が誘致した枚方市にある津田サイエンスヒルズ(26,4f)の進出企業21社で構成する津田サイエンスヒルズまちづくり協議会(津田SH協)の加入は、府の誘致条件とされ平成17年に結成されました。
 津田SH協は、18年2月、費用負担をして京阪バスを定期運行させ、同8月には、1500人が参加された独自の「まち開き」を開催。また、府の要請や各自治体、各種団体からの視察を積極的に受入、府内の企業団地のなかでも高い評価を受けています。
 しかし、府は設置した共同利用施設コアを廃止すると表明、企業誘致の募集要項には、コア設置が要件になっており、廃止は進出企業への契約違反でないのかと質問。
 府は「想定した利活用がなく、施設運営に過大なコストが必要で赤字経営が続いたので廃止せざるを得なくなった」。
鈴木「過大な維持コストからテナントが3業者も代わった。建築設計をした府の責任だ。コアに代わる場所を確保すべき」と追及。
府は「津田SH協の活動促進に向け十分な支援をしたい」と具体性のない答弁がありました。新たに施設建設するのは、現在の府の財政状況では厳しいことですが、府の責任のもとで代替案を示さなければなりません。
 17年2月議会の代表質問を皮切りにこれまで6回にわたり、津田サイエンスヒルズに立地することを提案してきた府立高等職業技術専門校が、25年春の開校向けて整備が進められています。津田SH協の企業が、技術者の講師派遣、共同研究、実習受入、求人受入、相談業務など他の企業団地にないコンセプトで府立技専校と連携・協働することが決定しており、その交流場所として技専校内に確保することがベストでないかと提案しました。
 橋下徹府知事は、「津田SH協との共同事業の範囲の中で活動できる拠点を柔軟に考えたい」と答弁しました。

【写真】津田サイエンスヒルズの全景。
手前が第2京阪道路(平成22年10月23日撮影)


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