7 1994年4月号
外国とのパソコン通信

どうしてプライバシーの侵害なのでしょうか 時代に乗り遅れた条例

 平成5年1月に、友人を通じてカナダオンタリオ州のバーン市の中学校から日本の学校とパソコンを通じた
交流をしたいと依頼がありました。
バーン市はナイアガラの北部の町。
時差は15時間でバーン市の子供達が放課後に思い思いの事をインプットしておくと日本の学校には、
朝登校すると届いていると言った具合で、学校間の電子文通といったものです。
楽しみながらの外国の同世代の交流は国際感覚が磨け、語学力の向上に役に立つ素晴らしいことで喜んで
引き受けました。
 私の地元の楠葉中学校に勇んで話をしたところ、当然喜んでいただけると思いましたが意外にも答えは
「ノー」です。
 枚方市の条例で海外の学校とはパソコン通信ができない仕組みになっています。
「枚方市電子計算組織に係わる個人情報の保護に関する条例」です。
そのなかの第7条の個人情報の使用制限、第8条の電子計算組織の結合の禁止、第9条の個人情報の
外部への提供制限の規定です。
第8条に「執行機関は個人情報を処理するため電子計算組織と国及び他の地方公共団体等と通信回線を
利用する有機的結合を行ってはならない」とあります。
要するに他のパソコンと通信結合するのは個人情報が漏れプライバシーを侵害するからできないという
法律です。
 授業の内容や外国との文通がプライバシーの侵害なのでしょうか?。
行政はパソコンのもつ意味が分かっていません。
 文部省の新学習指導要綱によって枚方市の全中学校にコンピューターが設置されています。
余談ですがコンピューター教育は驚くほど進歩しています。
 音楽の授業では生徒がパソコンに音符をインプットするだけで作曲ができます。
楽器を指定すればさまざまな楽器の音がメロディとなってコンピューターから流れてきます。
私たちの中学時代にも作曲の授業がありましたが作曲をして楽器で演奏できる生徒は2、3人しか
いませんでした。
雲泥の差です。
こうした情報・国際化時代に、枚方市のパソコン教育の認識は時代錯誤もはなはだしいと言わざるを
得ません。
枚方市はこの条例を楯にできないの一点張り。
 それではと条例の見直しを平成5年3月の本会議で迫りましたが、答弁はいつもの決まり文句です。
『他市の状況を調査、研究したうえで……(ヨソが出来ないのにウチが出ますかいな)』。
バーン市の子供達に申し訳ありません。


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