17 1996年7月号
大阪府は「花の係長行政」

多くのスタッフは必要か
覚えられないお役人の顔 強固な課長・係長ライン

 ある時、〇市のA課長に府庁舎で偶然お会いしました。
「やっとアポイントがとれ係長に陳情にきました」話を聞くと、府下の市町村が陳情するときは係長と決まって
いるようです。
上級官庁に陳情に行くのに一段階上級ポストが“礼儀”だそうです。
「府は良い方で、国の省庁は係長に会うのに部長クラスがいかないと会えない。
それも自分の子供より若い係長に、一日中待たされることも珍しくないですよ。
同じ公務員としてイヤになります」本音をいわれたと思います。
 予算獲得に中央省庁に呼び出す体質は権威集中思考で地方分権の逆行です。
市町村と中央省庁や府の関係は上下関係でなく対等な立場でなければ地方分権といえません。
陳情でなく協議体でなければなりません。
 府の行政は“係長行政”とよくいわれます。確かに実務によく精通しているのは係長です。
そして現場の最終決裁を課長がしておられるようです。
したがって、府の行政は実質的に課長・係長ラインで動かされています。
課長や係長が自分の意見、行政の方向性を明確に言われるのもラインの強さかも知れません。
ところが、課長のスタッフに参事、課長代理、主幹がおられます。
いまだに、それぞれの職務がよくわかりません。
5人のスタッフがいる課長もいます。
ともかく府政に行かせて頂いて驚いたことは、大変スタッフが多いことです。
 府庁舎にいる時は、政策や事業研究のため説明を求めるようにしています。
内容にもよりますが担当部課から必ず4〜5人で来られます。
枚方市議時代はほとんどが1人であったので面食らいます。
「たくさんで来られなくても結構です。ほかの仕事ができるでしょうから」と申 し上げても来られます。
その都度、名刺交換をしますが誰がどの発言したか後でわからなくなります。
ようやく顔も覚え気心もわかった頃に転属です。
府では2〜3年で転属されるので継続した案件も担当官が替わればまた一から念を押さねば置き去りに
されます。
 お役人は議員の顔写真、経歴が書かれた姿見を携帯しています。
会議のときなどこそっと机の下で姿見で“チェック”されている光景が目に入ります。
そんなことで議員の顔は覚えられますが、私共は四苦八苦です。
どうもお役人の方が上手のようです。
 閑話休題。
課長・係長行政が縦割りの役目をしているので弊害もあります。
平成6年度決算特別委員会の津田サイエンスヒルズ問題を取り上げたとき、建築部と商工部の複数に
またがっていたので統括した答弁をする理事者がおりませんでした。
当然、副知事がその役目と思いましたが知事のスタッフの位置づけで全体を見れるポストでありません。
 巨大な大阪府民870万人の生活を支える体制づくりとはいえません。
再構築が必要で、府議1年少々で十分な 検証ができていませんが全力で取り組んでいきます。


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