18 1996年11月号
アメリカ印象記

野茂選手に見るアメリカ気質
4日毎に登板最低5回は投球 成功者に素直に喜べる国民性

 アメリカに滞在中、オリンピックTV放送では日本選手の中継がされずアトランタにおりながら我が国の
選手の活躍が全くわからない状態です。
翌日の新聞かTVニュースに頼るのですがTVニュースもひどいものです。
日本と米国の野球試合の時など同国の選手のホームランや好守備のシーンばかりで日本選手など完全に
抹殺です。
徹底したアメリカ人の愛国主義なのでしょうか。
 もう一つ、日米野球観戦の時、米国チームが好機になると5万人収容のフルトン・カウンティ・スタジアムは
「USA、USA」の大合唱、前後左右が総立ち、3周ものウェーブ。
反対に日本選手が強烈なホームランを打っても大声援を送るもう一つのアメリカ人をみました。
 その秘密がロスアンゼルス滞在中、野茂英雄選手が登板日というのでドジャース球場へ行ったことで
理解ができました。
時間の都合で観戦できなかったのが残念ですが、野茂選手がマウンドだけでなく各方面で影響を
及ぼしていることです。
ドジャース球団は、NHKと野茂選手の放映権の契約を結んでいます。
4日毎に最低5回まで登板させるという契約内容です。
球団はNHKから数億円の契約料。
野茂選手の登板日は必ず満席になり、球場ショップの2/3は野茂グッズで満載。
旅行会社は日本からの野茂観戦ツアーを企画しホクホク顔。球団経営も増収増益。
一人で渡米し、大リーグに果敢に挑戦する姿勢に同胞として誇りに思います。
 野茂選手はどんなに不調でも4日に1度先発し、5回は投げなければなりません。
 それが米国の契約世界。
言葉や野球習慣の違う異国の地で独りぼっちで投げ続け勝利するひたむきな姿に素直にアメリカ人は
心から感動します。
それはミサイルのついている戦車・戦闘機以外はどんなモノでもお金さえ出せば自由に買える国の
善し悪しは別としても「次は俺の番だ!」と誰でもがこの国で成功できるチャンスがあるアメリカンドリーム
だからなのでしょうか。
成功者には徹底して素直に声援を送る国でもあります。
日本では素直に喜べず嫉妬でマスコミの論調も違うことでしょう。
 カリフォルニア州貿易通商省のジュリー・マイヤー・ライト長官と懇談の際、最初の言葉が「やる気の
ある人が力を発揮できる州です」と誇らしげに語っていたのが印象的でした。
努力をした人、努力をしようとする人を最大に支援できる社会構造にすることこそ政治家の責務ではないか。
反省!。


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