20 1997年1月号
府裏金づくりの構図

残業代よりビール代が安い
いけないと言えない雰囲気 責任を問えない機構も原因

 「大阪府の役人はいったいどうなっているんや!」「府会議員がたくさんおってわからんかったかいな」と
市民の方からお叱りの電話を数本、頂きました。
昨年末の府の残業飲食費の裏金問題です。
職員の夜食やビールを購入するために架空の請求書を作成し、2年間で約8000万円以上の公金を不正流用
したものです。
私も府議会に送って頂いてこの春で2年になりますが、全く分かりませんでした。
私も民間会社の頃は会社で負担できない夕食代や打ち上げ代はポケットマネーでした。
皆さんもきっと同じでしょう。
ノック知事は、当初、残業のビール代を予算化したいといったが全くの認識不足で、ある課の幹部も「正規の
残業手当をだすよりもビール代の方が安くつく。だから決して悪いことではなく節減ですよ」。
府民の心と完全に隔たりがあります。
 遅くなれば残業手当を支給するのは当たり前というお役人の「驕りの思考」があります。
時間外勤務は残業手当以外に照明代や冷暖房費など経費がかかるので時間内に日常業務をいかにして
おえるかが管理者の職責です。
府庁の一時間当たりの光熱費がいくらかご存じの幹部は少ないでしょう。
府では残業する部門が勤勉で、時間内で終わる部門は白眼視されるので居残る風潮があるのでしょうか。
議員になった直後、ある職員から「議会の自動車を夜間も使ってくださいよ」と言われたことがありました。
「どうしてですか?」
「いえ、車両職員の残業手当が……」
全国の自治体ワースト1の空前の財政赤字をかかえている府の清算性を意識しない発想は驕りでは
ないでしょうか。
もう一つの問題は、今回の裏金づくりは昭和40年代からほとんどすべての部署で行われていました。
残業が深夜に及ぶ場合、終わりがけにビールを飲むということが慣習的に行われ、そのため各課では
ビール等を用意しておかなければならない雰囲気があったそうです。
「正しいことではないと思っても、とても上司にいえる雰囲気ではなかった」と裏帳簿をつけた担当職員の
言葉が府庁の実態を証明しています。
慣行・慣例というのは目に見えない圧力です。
全員がおこなうと正義になってしまう怖さがあります。
「今までやってきた事を私の時代にはやめれない。少なくても私の時は大過なく次の担当者に引き継ぐ」と
いうお役人根性があります。
これは2、3年で配置転換する行政機構にも問題があります。
昨年の福祉見舞金の廃止の論議のおり16項目にわたる新規福祉事業推進の約束をしてくれたA課長
補佐がその直後に東京事務所に転出、職務が全く変わりもうその担保は取れません。
だから、職員の方々にも最後まで責任を取るという自覚が生まれにくいのではないでしょうか。
機構改革から始めなければなりません。
そして、残念なことは今回の問題は市民オンブズマンへの通報で発覚したことでした。
本来、議員が行政をチェックする立場であり、見逃したことを反省しています。
枚方市議時代のように職員の方から「取り上げてほしい」と早く言ってもらえる議員になれるよう
がんばります。


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