27 1997年11月号
府幹部職員研修会の知事発言

就任初、職員に檄を飛ばす!
役人につけるクスリ効いた 「憲法違反でもやれ」は失言

 10月16日の府議会商工農林委員会での横山ノック知事との質疑。
泉佐野コスモポリスや津田サイエンスヒルズの開発事業についての私の質問に、知事が役人の書いた
同じ答弁を何度も繰り返すので、「知事自らの声で答弁すべきでないか。庁内の会議でも知事の意見は
お役人に跳ね返されて通らないのではないか」と質問。
知事は「職員ともいろんな議論をしているが、従来からの慣例、慣行の大きな壁があることも事実です。
根気よく剥がしながら山を越えて行きたい」と自分の意見が通らないことを認められています。
お役人の意見が決して悪いと言いませんが、府が法人二税等の大幅な落ち込みで、来年度も約600億円の
財源不足のなか企業でいえば倒産寸前の状態で、お役人の言いなりにならず、知事自らの声で府政を運営
すべきであり、もっとリーダーシップを発揮しなければ府政再建はできるものではありません。
できなければ知事の素質が問われます。
言いなりで任期まで勤められたのでは、府民はたまったものではありません。
 そんな知事にぜひ読ませたい本があります。
前号(飛耳長目44参照)で紹介した「役人につけるクスリ」(住田正二JR東日本最高顧問著・
朝日新聞社刊)です。
質疑の最後で知事に手渡したとき、比喩したタイトルの面白さか、 ジョークに思えたのか。
議員もお役人も大爆笑でした。
 それから19日後の11月4日、相次ぐ不祥事にたまりかねた府が吉永祐介元検事総長を招き、
課長級以上の管理職約800人を集め、臨時幹部職員研修を開催。
冒頭の知事挨拶が異例なので、少々、紹介します。
「私が新しい施策を提案しても、職員は『まずだめです』と言う。 『地公法に触れます』『自治法に
触れます』ばかり。触れてもいいではないか。成功したら驚くことはない。憲法違反性が問われようと
やるときはやる。政治生命を賭けてやる。自分の担当のときは何も起こらなければいいという思考は
許さない。相次ぐ不祥事の根底は事なかれ主義だ。こういう考えをもっている人は、どしどし辞めて
いただきたい。あなた方が私のことをカゲで悪く言っているのを知っている。何を考えているのかも私には
よく分かる。40数年間、舞台から一人一人の観客の顔を見て商売してきたので、誰がよう働いてんのかが
分かる。二階級特進だってあり得ます。二階級特進は知事の裁量の範囲にある。働かない者は辞めて
いただきたい」。
途中から用意された原稿でなく、自らの声で檄を飛ばしました。知事就任以来初めての”快挙”!?で職員も
びっくり。
「法律違反してもやれ」とは、法律を遵守する立場の行政の最高責任者の言葉としては、粗末ですが、
何となく意気込みが感じられます。
これほどに知事が豹変した原因は、私が差しあげた「役人につけるクスリ」が、効いたのでしょうか?。
そうであれば、JR東日本の住田さんにお礼を言わなければなりません。


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