29 1998年1月号
老人医療費助成制度見直しの裏側

市長会と府議会を手玉に福祉部長の二枚舌の波紋

 同制度の詳細は、飛耳長目43号、45号を参照してください。

 昨年12月の大阪府下市長会は暮れも押し迫った25日の午前8時という早朝からの定例会となりました。
テーマは老人医療費助成制度の見直し。
府福祉部は、この日の市長会で同制度改正の同意をとり成案化する予定でした。
ところが、ふだんは発言の少ない定例会が、出席した市長全員が発言するという異例の状況で、「市長会で
決定すべきものでない」、「市長会を悪者にするのはやめて欲しい」、「市長会福祉部会の答申を府に回答
すれば、同制度改正を容認したことになるので反対」など反対意見が続出。
 結果は、部会答申は採用されず、市長会の会長、副会長、部会長で継続して検討することになり府の
目論みはつぶれました。
 ことの経過は、梶本府福祉部長が11月17日の市長会の発言に起因します。
「府議会会派の同制度の見直し素案に対する姿勢は、条件付き支持と反対に大きく別れた。
自民、新進・府民クラブ・改革おおさか、府民の会は条件付き支持。
公明、民主・社民・府民連合、日本共産党は素案の撤回を主張しているが、多数の意見としては、素案を
基本的に支持と受けとめている」。
この発言で多くの市長が府議会も了承していると理解。
そのために同部会は府素案にしたがった答申を12月15日に取りまとめました。
 こうした情報が12月17日にわかり、府下の市長から事情聴取のうえ、12月19日、福祉部長を呼び、真意を
質しました。

鈴木「見直し案を府議会が了承したと誰が言ったのか」
部長「そういう発言はしていない」
鈴木「多くの市長は了承したと理解しているのはなぜか」
部長「わからない」
鈴木「それならば議事録を出せ」

それが冒頭の部長発言の一部です。
誰が聞いても「了承」としかとれません。
現在も「条件付支持の政党」は明確に賛成しておらず慎重な態度をとっています。
採決もされていない事柄を「多数の意見は支持」と言うのは作為的です。
さらに「不退転の決意で、素案を成案する市町村の意見はなにより重要だ。
市長会の協力をお願する」というのは、府の事業変更の責任を市長会に押し付けています。
 早くから府議会には市長会が了承したといい、市長会には府議会が了承したという二枚舌も明らかに
なり、上位官庁の府の傲慢さがうかがえます。
 このような府の態度を糺すため、わが党の各市町村幹事長を通じ、すべての市長に正しい情報を伝え、
25日の市長会では「慎重な態度をとるよう」に働きかけたことが功を奏しました。
また、福祉部は成案に持ち込むために「今回はじめて、府議会の意見を聞き5年間かけ移行する激変緩和
措置を導入したい」 としていますが、最初から原案に織り込み済みで昨秋、一般紙にも報道されており、
「議会に花を持たせた」にすぎません。
 このような手法を使う時代ではなく、情報公開し真剣な論議で結論をだすべきで、府幹部の古い体質を
打破しなければなりません。
だから、裏金問題に象徴されるように「誰も悪いと思っていない」ところに府の問題点があります。


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