33 1998年5月号
破綻した泉佐野コスモポリス事業

時間切れ寸前の深夜の決着
崩れ落ちた親方日の丸神話 官事業に責任、収支、効果を

泉佐野コスモポリス事業は、府議会本会議場で4月30日午後11時55分、大阪府と泉佐野市が、215億円の
公金投入する民事調停の修正案を起立多数で可決しました。
泉佐野市から特別土地保有税の減免猶予を4月30日と通告したことにより、調停案を受け入れるか、破産に
持ち込むかの決断を4月30日の臨時議会で迫られました。
朝から各会派で賛否を巡り紛糾。2時から本会議が開会されたが30分で休憩に。
府議会(111人)で反対会派は、公明(22人)、共産党(9人)、民主社民府民連合(13人)の44人。
一方、賛成は改革おおさか(5人)、府民の会(5人)、無所属(1人)の16人。
友党の躍進(旧新進党12人)が反対に回れば否決になりますがどうも雲行きが怪しい。
自民党(44人)は長老議員に反対意見が強く混沌とした状態ですが基本的には賛成に回る雰囲気です。
午後7時頃になり自民党は賛成に決定。
本会議再開の直前まで躍進は態度が決まりません。
 今まで経過があり、私が公明の代表質問にたちました。
「@府が財政再建に取り組む時期の多額な負担処理は後世の財政を圧迫させる。府民の血税を使わせて
頂くという姿勢でない。
A裏金問題、一連の府幹部による不祥事事件、老人医療費助成費の削減など府民に負担を強いるなか
での公金投入は府民の理解が得られない。
B主導的な役割を果たしてきた処理案は、銀行団に対するもので、府民に対しての責任を取ったとは
いえない。念書問題や土地二重買い等、府の経営指導責任を回避するものだ」の主張で反対しました。
最後には躍進が賛成に回り、あと5分を残した11時55分、時間切れ寸前に可決。
3月議会以降、知事や副知事が議員宅まで押しかけ、ただひたすら「お願い」に回る姿は健全な
府政運営とは思えませんでした。
一時は知事に専決処分させる動きを見せるなど正常な論議のうえで議会の同意を得る事をしない
府幹部の姿勢にも不信感が残りました。
府は審議のなかで「民事調停で大幅な譲歩をすると株主代表訴訟に耐えられない」とする銀行団の意見を
尊重していたが、逆に、今度は府民から府が「住民訴訟」を起こされるのは必至でしょう。
また、調停案に同意しないと、銀行からの貸し渋りや協力が得られず弊害があると強調していましたが、
いまだに「官の甘さ」が抜け切れていません。
全国的な官主導の第三セクターの事業破綻で「親方日の丸神話」は崩れ、今の金融機関の融資は、官と
いえども民間と同列に扱われていることの認識がないことです。
これからは第三セクターだけでなく官の直接事業そのものにも計画段階から責任と収支と効果を明確にする
必要があります。


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