34 1998年7月号
参議院選挙マスコミ当落予想

高投票率は誰もが読切れず
予測報道に陣営が一喜一憂 無党派層が厳しい判断下す

 第18回参議院議員選挙は、自民党の大敗、民主党・共産党の躍進で終わりました。
これだけ自民党が議席を失うとはだれもが予測できませんでした。
選挙期間中のマスコミの世論調査や議席獲得予測報道もすべてはずれました。
 そんなことで平成8年の大阪11区(枚方市・交野市)の衆議院議員選挙の出来事を思い出しました。
投票当日の昼前、ある放送局の出口調査結果が流れてきました。
それによると自民党のO候補が1位で、私共が支持する無所属のH候補は2位、3位は共産党。
それまでの支持政党や支持基盤からH候補が断然有利の見方が大勢を占めていましたので思いがけない
結果です。
押っ取り刀でその担当記者へ電話。

鈴木 「どうなっているの。間違いでは?」
記者 「枚方市数ケ所の出口聞き取り生データーではO候補が多いですよ」
鈴木 「もう一度、確認してくださいよ」
記者 「午後の調査で確認してみます」

既にこの情報は各陣営もキャッチしており、O候補陣営では予想外の結果で大喜びらしい。
投票締切り直前になって記者から電話がかかってきました。

記者 「午後の調査でもO候補が有利。間違いないですよ」
鈴木 「そんなばかな!。確認のため開票場でお会いしましょう」

開票場は枚方市総合体育館。候補者別に積上げられていく投票用紙の山を前に。

鈴木 「どこが多いか一目瞭然でしょう」
記者 「これは大変だ!」

新聞社の記録性と違い、各テレビ局は開票の速報性を競い合います。
そのために選挙の数カ月前から各陣営の動きや情報収集の取材に精力を尽くし「票読み」をします。
事前調査や仕込みが多いほど正確な結果が出るのは、どこの世界でも通用することです。
記者は選挙直前に地方から転勤してこられ、枚方市地域の状況が十分につかめないままに選挙に
突入したので致し方なかったのかも知れません。
結局、H候補はO候補に2万票以上の大差をつけ当選しましたが、一時は敗戦原稿まで準備していた
そうです。
それほどマスコミ情報は各陣営を一喜一憂させます。
過去数回の選挙では事前の調査結果と投票結果はほぼ一致していました。
しかし、今回は獲得議席予測より、投票率そのものが予測できなかった「変化」をだれもが読み切れ
ませんでした。
無党派層の増加で投票率が上がらないとの連日キャンペーンや橋本政権への経済政策への不満が多くの
有権者に投票行動引き起こしたと思えます。


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