37 1998年11月号
破綻したコクサイホテル

府と国際見本市協会の関係
第2の泉佐野コス事業手法 大家と店子でお手盛り商法

 10月20日は、府議会商工農林常任委員会の横山ノック知事への質問日。
経営危機に陥っているコクサイホテルを運営する府の出資法人・国際見本市協会への支援問題を追及
しました。
 10月14日の同委員会質問で、府商工部は「同協会(コクサイホテル)を清算するのに、借り入れ金
返済33億2000万円、職員の給与退職金支払い12億、テナントの立退き保証料ほか4億、計約50億円に
なる」と答弁がありました。
その一方で、「府から同協会に借地権付き建物補償料(鑑定価格)56億4287万円を払わなければ
ならない」と答弁。
府が同協会に約56億円を支払い、同協会は約50億円で清算しコクサイホテルを閉鎖するという“計算”が
成り立ちます。
差し引き約6億円のお釣りがあり、帳尻があっているように思えますが、大きな疑問があります。

【質問】56億円の算出根拠は?
【答弁】土地鑑定評価額に基づくもので、土地(約6000u)38億2215万円、建物18億2072万円の
合計56億4287万円だ。

◆この種の売買は、相手との交渉が常識です。
府は公費を投入する訳で、鑑定評価額は上限であり、参考価格であり、低く交渉する必要があります。
◆大家(府)から立ち退きを求めたのでなく、店子(協会)から申し入れであり、通常は借地権を支払わず逆に
原状復帰請求も考えられます。

【質問】府と同協会の代表者は同一であり民法に触れる。
【答弁】どちらかの退任を検討する。

◆府の代表者は横山知事。協会の会長職も横山知事が兼職しています。
資産の売買では、双方の代表者が同一人物の場合、利益相反行為として民法で禁止されている
双方代理に触れ違法です。
違法性よりも、自分で自分の給料を決めるお手盛な“お役所体質”がまかり通ることに失望しました。
◆泉佐野コスモポリス事業と同じズサンな後始末に成りかねません。
委員会審議の模様から府の考えは来春にもコクサイホテルを閉鎖するでしょう。
◆同協会は、従来から府が資金援助し実質的に運営主導してきたことは事実で、協会の清算には知らぬ
振りをすることはできないでしょう。
しかし、コクサイホテル用地を売り払って、協会だけを清算するような安易な解決策でなく、大阪経済の
中心ともいえる立地を生かし大阪経済の再生に役立つ発想にたつべきです。
11年2月府議会が勝負です。


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