39 1999年7月号
難局を乗り切る大阪府

パフォーマンスで府民関心大
ノック知事は大阪府の広告塔 府政運営は実務派の副知事で

 横山ノック知事は6月23日、大阪府堺市に完成した「大阪府大型児童館ビックバン」の会館式に
出席するため、南海電鉄なんば駅から泉北高速鉄道泉ヶ丘まで準急電車を利用しました。
いつもは知事公用車で移動しますが、春の統一地方選挙で公約した移動知事室開放を実現しようとこの日、
車内で府民の声を聞こうとしたアイデア。
ところが、30数人のマスコミを同行しているものですから、乗客の皆さんは驚きと緊張で対話には
なりませんでした。
 ノック知事は、「あらかじめ府民が準備してくる知事室開放と違い、ぶっつけ本番だけに率直な意見が
聞けた」と語っていましたが、府民と直接対話することは大変すばらしく過去4年間で計72回、延1654人の
語らいの実績は評価します。
しかし、事前にリークしマスコミを動員するのはノック知事の得意とするところ。
本当に府民の声を聞くならばマスコミに公表せずに行うことです。
府民をダシにしてはいけません。
 こんな話もあります。
1期目の当選直後、昼食は府庁食堂で職員と同じメニュー。
当然、マスコミの取材ラッシュ。
庶民的な知事のイメージが定着。
それ以降、府庁食堂で知事の姿は見かけません。
 今春の知事選挙。告示スタートは自転車行脚。
それも午前中だけ、テレビを見ている人は前回と同じように全期間自転車行脚と思わせる戦術。
テレビを意識したパフォーマンスは全国の知事のなかでもピカ一でしょう。国会議員を含めても右に出る人は
ないかも知れません。
そのため、大阪府政に府民の方がつよい関心をもたれる効果もあります。

 そうしたなか、知事は現在の副知事、出納長を9月の任期前に解任し、新しく副知事に木村良樹・
総務部長(47)、梶本徳彦企画調整部長(56)、孝石欣一・前土木部長(57)、出納長に鈴木重信・商工部長(56)を
起用することを表明しました。
木村氏は京大卒で自治省出身。
和歌山県総務部長、自治省財政局指導課長を経て昨年7月から府へ、国との強いパイプがあり財政通。
梶本氏は京大卒。福祉部長時代に力量を発揮。
孝石氏は阪大工学部卒で関西空港2期工事推進の技術畑。
鈴木氏は同大卒。商工部が抱えた信用組合、泉佐野コスモポリス問題を処理。
すべて庁内の実務派で固めました。
 赤字再建団体転落の恐れのある難局を乗り切るため、230万票の支持を得たノック知事は大阪府の
広告塔として活躍し、実務に精通した副知事が行政運営に当たる役割分担がベストかも知れません。
特別職の人事は、7月21日に臨時府議会を招集し選任される予定です。


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