42 1999年10月号
枚方市・楽寿荘存続問題

請願運動は誰のため?
市は無償貸与を求める 団体は存続運動を展開

 10月4日の昼下がり、「楽寿荘の存続を求める請願の紹介議員になってくれませんか」と楽寿荘を守る会と
いう団体が共産党議員と大阪府庁の議員控室に突然お越しになりました。
9月28日にも来られたが、会議中で不在のため「趣旨文」をおいて帰られました。
それまでに1度、自宅に面会したい旨の電話がありましたが、面談したのは10月4日が初めてです。
 請願の趣旨は、枚方市北中振2丁目にある大阪府立老人福祉センター・楽寿荘が府の財政状況の厳しい
なかで市町村にも同様の施設が整備されたことや施設建設後40年が経過し老朽化がすすんでいることから
府が廃止を示したので、存続を求めようとするものです。
 楽寿荘は、昭和35年9月21日に高齢者のための生きがいづくりの場として、7,891平方bの敷地に木造
平屋建・延床面積1,128平方bのなかに大・中宴会場や宿泊機能を併せ持った老人休養ホーム的な
施設です。
高齢者の憩いの場所として安価に利用できることから年間17,906人(平成10年度)が利用されいます。
 枚方市は市民から存続の要望を受け、8月12日に存続の要望書を府知事に提出しましが、府からは
8月23日付で財政難と施設の老朽化を理由に平成11年度末で廃止をする旨を枚方市に回答しました。
その際、市で施設廃止後の跡地利用計画があれば申し付けてほしいとの依頼がありました。
早速、枚方市議会では府から同施設を無償貸与をうけて枚方市で運営しようとする「楽寿荘の無償貸与等を
求める請願」を共産党を含む全会一致で採択しました。
同議会で共産党議員団は提出していた「楽寿荘を守る会」と同趣旨の意見書を取り下げました。
この時点で共産党は施設廃止の撤回は困難であり“無償貸与方式”を選択したことになります。
一方で存続を叫び、片方で無償貸与を主張するのはどうも理解できません。
 4日の面談でその見解を求めると「存続には変わりがない」との意見です。
そうであるなら「廃止せず存続する意見書」を取り下げるのは矛盾します。
そもそも、請願締め切りの前日に紹介議員の依頼をするのも乱暴な話です。
 多くの市民の方が署名された請願はどうなるのでしょう。誰のためだったのか。
 存続論議を含め跡地利用計画のなかで枚方市が受け皿になり高齢者の皆さんや地域の方々の意見を
取り入れ枚方市にとってもふさわしい方向を定めなければなりません。

【請願】・・・市民が国や自治体に希望を述べることで、議会に対する請願は議員の紹介が必要で
文書で受理され審議されます。
採択されたものは執行機関に送付される仕組みです。


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