46 2000年4月号 |
太田知事の初議会印象記
じっと睨みかえす度胸 |
全国初の女性知事のデビューは大阪府議会の3月定例会。 平成12年度一般会計当初予算案など167議案を可決して3月30日に閉会した初議会での太田房江知事の 印象記。 各会派が代表質問で新知事の考えを問いますが、質問内容で会派の新知事に対する微妙な態度が 分かります。 予測どおり”野党”の自民党と共産党は対決姿勢。 野党陣営のヤジはつきものですが、前ノック知事の初議会の時は、「コラー。ノック!、原稿を読むな!」、 「○が読めるのか」など他にも文章にするのが憚るほどの痛烈なヤジの連続でした。 今回の太田知事へのヤジは前知事と比べ10分の1程度です。 それも”やさしいヤジ”です。 なぜなら太田知事は「いやなヤジはセクハラで訴えますよ」と女性の権利を最大限に“活用”しているように 思えます。 だから迂闊なヤジは禁句でスマートなのかも知れません。 もう一つ気が付いたことがあります。 前知事の場合は、答弁の中で数秒の空間があります。 しゃべりの“間’です。 長年ボケ役の漫才をしてきた経験から、話の途中で必ず‘間’を取らなければしゃぺりにくかったのでは ないかと。 ‘間’があるからこそヤジが飛ぱせます。 太田知事にはその“間’がありません。 立て板に水。 早口でまくし立てる答弁にヤジを飛ばす空間がありません。 本当は「太田知事の高等戦術」という人もいます。 驚いたのは太田知事がヤジに微動もしないことです。 初めての議場で緊張もするしヤジられば答弁が詰まったり言葉が乱れるものですがまったくありません。 理事者からの答弁原稿には自席でもしっかりと読んでから壇上にあがる落ち着きぷり。 ぺ一スを乱さず、笑顔を見せ、時折、議員席や傍聴席を見渡す余裕は岡山県副知事時代の経験でしょうか。 特に共産党陣営からヤジが飛んできた時、じっとにらみ返す度胸は並の女性ではありません。 「鉄の女」と言われる所以かもしれません。 共産党府議に対する答弁はそっけなく、自民党府議の質問には丁寧な答弁に終始することで議会対策に メリハリをつけるしたたかさも初議会で披露し「カ量のある知事」の印象を深くしました。 強制ワイセツ罪に問われた前代未聞の現職知事。 女子大生の訴えを「真っ赤なウソ」と府議会までウソをつき続け大阪府の信用を失墜させた責任は大きい。 危機的な財政悪化の中で府民から信頼を取り戻し府を立て直さなければならない太田知事の政策の力量が 問われるのはこれからです。 |
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