57 2001年9月号
お役人のポスト観

年功序列、前列、責任回避
地方公務員法の改正必要 信賞必罰で人事能力評価

 ある大阪府幹部との会話。
「私達が入省した頃、課長は黒塗り(自動車)に乗れ、部長になると秘書が付き黒塗りの送迎。憧れの
ポストであった。ところが、府の財政状況が厳しくなり私達が課長になる頃は黒塗りが廃止、部長になっても
電車通勤。昔とは隔世の差ですよ」と嘆きの声。
 民間会社と違い、論功があったとしもボーナスに影響する訳でもなく特進することのないお役人にとって
年功序列で回ってくるポストとそれに付帯する”余禄”が、お役人の励みでした。
年功序列で決まるポストでは魅カがありません。
能力で評価され与えられるポストであれば、奮起する材料になります。
 ところが、お役人のなかにはポストを希望しない人もいます。
ある50代のお役人のお話−。
「主査になると貴任が増え、人間関係が煩わしくなる。役織給さえガマンすれば済むことですよ。
役付きでなければこんな気楽な職業はありませんよ。定年までヒラで結構です」と正反対の考え方です。
役職給を除けば、給料は同じという所に問題があります。

 お役人天国といわれるのは、団結権、団体交渉権、スト権の労働三権を認めない変わりに公務員の身分を
保障する地方公務員法に原困があります。
 つまり、公務員は事件や事故を起こさない限りリストラがないということです。
そのため、年功序列、前例主義、責任回避の組織が出来上がり、お役人の競争意識を阻害し、安住の
地としてしまったことにあります。
”ヒラ公務員希望者”にとっては仕事の評価は関係なく出勤さえしていれば、公務員法でリストラされず、
責任も問われない”快適な職場”となるわけてす。
納税者にとってはたまったものではありません。

 ”お役人天国”を改革するには、地方公務員法を改正し、民間並に公務員にも団結権、団体交渉権、
スト権の労働三権を認めることです。
労働三権を認めるかわりに、民間会社と同じ雇用関係にすることで公務員の意識が変わることは間違い
ありません。
公務員にスト権を与えると市民生活に影響があると言う声がありますが、警察と消防を除外すれば大きな
影響はないと考えます。
そして、職務の信賞必罰を明確する人事評価や能力給を導入することで、能カやヤル気のある公務員に
とっては、働きがいのある職場になるはずです。
その分、責任が重たくなることは当然てす。


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