69 2003年2月号
−在外被爆者訴訟・上告断念の舞台裏−

人道的な立場での英断に感謝 知事から大臣へ電話会談実現

地方から国動かす連立の成果
 大阪高裁は、12月5日、海外で住む被爆者への健康管理手当の支給を命じ、国と大阪府が控訴審で
敗訴しました。
これは、21歳の時、広島で被爆し府から被爆者手帳の交付を受けた韓国人の郭貴勲さんが、帰国したため
手当の支給を打ち切られ、98年10月から大阪地裁に国と府に対し提訴されていたものです。
 翌日の12月6日、府議会公明党幹部と大阪府幹部との政策懇談の際、この問題に触れ太田房江知事に
質問。

鈴木和夫:上告するのか。
太田知事:個人的にはしたくない。
鈴木和夫:その旨を坂口力厚生労働大臣に伝えたらどうか。
太田知事:是非そうしたい。上京できないので電話なら・・・
鈴木和夫:電話の際は報道陣にも公開し、アピールすべきですよ。

 府庁内の調整が出来ていないことはわかりますが、石原慎太郎東京都知事などに負けないよう、時には
マスコミを通じ、積極的に自らの考えを発信することも必要です。

 その夜、新幹線で帰郷中の知人の大臣秘書官と連絡がとれ、週明けの12月9日に電話会談の段取りが
決定しました。
この日、従来から決まっていた公明党府議団の15年度予算要望する席上で、改めて太田知事に上告の
対応を訪ねたところ、上告断念してほしいことを坂口厚労相に表明することを発言、この日の夕方、
電話会談が実現しました。

 国では、個人への戦後補償をしないことになっており厚労省内では、上告やむなしの声が多いなか、
坂口厚労相は、人道的な見地から12月18日、坂口厚労相は記者会見で最高裁への上告断念を正式発表。
国側敗訴の判決が確定しました。
上京していた太田知事に対し、坂口厚労相は、「電話を頂いたことで、上告断念の決意ができた」と返答。
太田知事も坂口厚労相の英断に感謝しました。

 電話会談の実現が、在外被爆者救済の解決へのきっかけになったことは感無量です。
これも公明党が連立政権に参加している成果のひとつです。
地方から国を動かすパイプのあることは政治家にとって大きな財産です。
これからも大阪府民の意見がストレートに政府に伝えられるよう目を配らせて頑張っていきます。

【在外被爆者】・・・1945年8月、広島、長崎で被爆し帰国された人たち。
厚労省調査では、韓国に約2200人、北朝鮮に約900人、北南米に約1300人など、世界に約5000人
おられます。
都道府県が被爆者健康手帳を交付し、健康管理手当(月額3万4130円、最大5年間)は全額を国が
負担しています。


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