71 2003年8月号
混迷した府副知事人事

情報管理、説明責任の不備
過敏なマスコミ対策が原因 3会派共同歩調で一定成果

 7月2日午後、北海道別海町に出張中のバスの車中。
太田房江・大阪府知事から携帯に電話がかかりました。

【知事】副知事人事を認めてほしい。これだけお願いしてもだめなのか!
【鈴木】今、初めて電話で言われて了承できる話ではない。

――これに先立つ6月18日の出来事。
 前回は事前にマスコミに漏れたので、今回の2人の副知事人事は、万全を期すので各会派にも
議運理事会直前まで氏名を報告しない。と知事公室長から申し入れをうけました。

【鈴木】マスコミを意識するあまり、知事が議会に意向を伝えないのはおかしい。
人物によっては同意できない場合もあるが、よいのか。
【知事公室長】その場合は、致し方ありません。

 公室長の強気な姿勢が印象的でした。
ところが、7月1日の深夜。
くだんの知事公室長から電話。
「共同通信社から、副知事人事が配信され、各紙が朝刊で報道されることになった」。
 翌朝の各紙朝刊に2人の人事案が報道され、私共も初めて知ることになりました。
あれほど万全な情報管理をすると言い切りながらこの結果です。
 公表より一週間も早い漏洩は、府庁内の情報管理に問題があります。
そして、冒頭の携帯電話になった次第です。

 副知事人事は府政運営上の重要案件です。
知事から議会に対し、副知事名を提示しなくても副知事人事の考え方や方向性の話があってもおかしく
ありません。
一切の話もなく、新聞報道されたから「人事案を認めろ」とはまったく乱暴な話です。
それ以降、知事部局からは、ひたすら陳謝と人事案の承認を求める声ばかり。
 そうしたなかでも、公式な人事案件提案の15日の議運直前の知事記者会見で、具体的な副知事人事
構想を表明したため、「マスコミ優先の議会軽視だ」と反発を招き議会もますます混迷。
 自民党や民主党・無所属ネットも反対意見が強く、人事案不同意で3会派幹事長の共同歩調を
申し合わせました。

 5月に幹事長に就任してから気がついたことですが、議会各会派と知事とのコミュニケーションが取れて
いません。
今回、このことを知事に指摘すると否定されました。
しかし、主要会派の意見は違います。
知事の思いと議会とには相当ギャップがあることから、この機会に知事や部局に認識してもらう必要が
あります。
 したがって、わが会派も議員団総会で副知事人事案には不同意の態度を決めたわけです。
 3会派が歩調を合わせるなか、自民が「独自性を発揮する」ことから一転、同意の動きに。
当初から3会派合意が前提であり、自民の態度に強く抗議。
 改めて20日、3会派幹事長が知事と会談し、情報管理の責任、説明責任、職務分担の明確化の
3項目を申し入れ明確な回答を求めました。
 22日午前のわが会派の議員団総会に知事が就任以来、初めて出席し謝罪と前向きな釈明が
あったことから、今後、議会とのコミュニケーションをとることを前提に了承。
3会派協議のうえ、今回の人事案を同意しました。
 当初、知事与党が反対することに疑問の声もありましたが、今回の動きが知事と議会との関係が
円滑にいくきっかけになったことは間違いないと思います。


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