84 2005年11月号
りんくうビル破綻舞台裏 展望台の公益性疑義有り
 9月府議会の焦点は、りんくうゲートタワービル褐o営破綻による府の負担問題でした。
同ビル社は、府、日本政策投資銀行、みずほ、りそな、UFJ、三井住友、住友信託、大林組、大阪ガス、
関電など資本金150億円で平成2年5月に設立されました。
 関西国際空港対岸のランドマークとして平成8年10月に約650億円をかけて56階建てビル開業。
しかし、開業当初から経営不振で低迷。
今年の4月に大阪地裁に会社更生法が適用申請され、9月13日に管財人から本体ビルを
新生銀行・ケネディクス連合体(スポンサー)に45億円で売却、銀行団に390億円の債権放棄、府に
対しても22,5億円の債権放棄の他に、国際会議場の運営負担金25億円、展望台の運営負担金4,2億円、
事務室賃貸で5,5億円の負担を求める更正計画案が示されました。
府は同案が承認されないとビル社は破産し府の負担が増加すると受け入れました。
 地方自治体が補助金を支出できる根拠は、地方自治法232条2「その公益上必要がある場合においては、
寄付又は補助をすることが出来る」にあります。
 補助金は、より多くの府民に還元されるべきであり、最小限の経費で最大の効果がなければなりません。
国際会議場は、関空を補完するりんくうタウンが国際ビジネス拠点と謳っていることから公益性があると
言えますが、26階にある展望台の公益性の主張は無理があります。
 16年度の入場者数は1万7855人。1日当たりにすると49人。入場収入はわずか年間630万円。
一方、運営負担金を年間に換算すると8366万円になり、公益でなくスポンサー救済の私益であることは
明白です。
 9月26日の知事との意見交換会で、「展望台の負担金は削除できないか」と尋ねても、担当副知事は
展望台の公共性を主張し、「更正計画案を修正すると破産に繋がるからできない」と突っぱねました。
 しかし、10月3日の本会議代表質問で、厳しい追及に思わず企業局長は、「(展望台は)5年以内でも
向こうから(スポンサー)の申し入れがあれば(オフィスフロアに)転用することはあり得る」と答弁しました。
 これで府の5年間の公益性の主張は崩れました。この時点で府の敗北が決定的になったと思います。
 その後の各会派の質疑は、展望台負担金に批判が集中。
10月18日になり太田知事が展望台負担金4,2億円の削除を決意、翌19日、副知事、企業局長が各会派を
回り議案削除の表明をしました。
 議会最終日に、知事は「展望台の借り上げ、機能維持は、このまま管財人の要請にお応えすることは、
議会そして府民の皆様の意見にそぐわないものと考え最終的に、これを行わない」と4,2億円削除の
修正案を提出し承認されました。
 頑なに管財人による更正計画案を修正しようとしなかった知事はじめ府幹部の態度は、ビル社破綻の
幕引きを急ぐあまりの失態といえます。
もっと交渉に時間をかけ府負担を減らすことが出来たのではないかと悔やまれます。


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