88 2006年4月号
二人の校長の指導力

生徒が戸惑う国歌斉唱の対応
初の民間校長辞任の波紋 真相を究明する場が必要

 春は入卒業式のシーズン。3月7日、地元、府立枚方なぎさ高校(武内正夫校長)の卒業式に出席
しました。
国歌斉唱の時、来賓や保護者が起立するなか、卒業生達は周りを見渡し起立すべきかどうか戸惑い
ざわつき始めました。担任の教諭は誰1人起立する人はおらずそれを見た生徒の中には起立したものの
着席しだす生徒も多くいました。結局、卒業生196人中起立したのは十数名です。校長は起立を則する
こともせず平然としています。式辞や卒業証書授与には、深々と一礼し丁寧な態度を卒業生全員が取る
ことを見れば、担任教諭が起立しないよう指導しているのでしょう。
出席していた竹内脩府教育長が、祝辞の最後に、「国際的な儀礼としても国歌は歌わなければならない」と
わざわざ強い口調で指摘したのも虚しく映りました。
枚方市内の小、中学校では全員が起立し歌っています。高校で全く逆の指導することは、送辞や答辞で
涙を流す純真さを持つ生徒達を苦しめる行為で、教諭と生徒との関係からすれば、生徒の立場が苦しい
ことは当然です。教諭を指導できない校長の力量に課題があります。
その校長も4月から私立高校に天下り、指導力不足を問われることもありませんでした。
 一方、初の民間人校長として、住友金属工業和歌山製鉄所副所長を経て人材開発センター長などを
経験した木村智彦氏を関西経済同友会が推薦し、平成14年4月に高津高校に赴任されました。
木村校長は、民間ノウハウを生かし、就任前の同校の国公立合格者48人を17年春には119人に押し上げる
など高い評価をされていました。
しかし、同校の教諭10人が、木村校長が学校運営を思いのままにするため、反対する教職員を恫喝したと
して、大阪弁護士会に人権侵害救済を申し立てたことから、木村氏は、任期を1年残し3月末に辞任しました。
 申し立てによると、木村校長の言動が克明に明記されており、早い時期から用意周到に準備されていた
ようです。
同校の学校運営の決定権は、校長でなく職員会議にあり、指導力を発揮するため矢継ぎ早に改革案を示す
手法が対立を生んだといえます。就任した7ヶ月後に、教職員との対立が表面化しても府教委が対応
しなかったことや一連の講師採用を巡る府教委幹部の接待汚職事件の渦中にある2月本会議閉会の翌日に
申し立てが提出されたのも政治的な幕引きを感じます。
 このままで終結させず、木村氏も申し立ては多くの事実誤認、誇張、すり替えがあり、反論する機会が
欲しいと言われており、文教常任委員会等に申し立てした教諭なども呼び真相を究明する必要があります。
この機会に、何もしない校長と行動する校長の評価と府教委の役割を明確にしなければなりません。


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