95 2007年6月号
両極端な事業決定の舞台裏

自販機の寄付制度実現に2年半
わずか4ヶ月で出産一時金増額 やる気になれば出来るお役所仕事

 5000万件の年金記録漏れ問題は社会保険庁のズサンなお役所仕事体質が本質ではないか考えます。
いままでも多くの行政機関で職務の怠慢や遅い対応が話題にのぼることがありました。
私の大阪府でも両極端な最近の話題を2題ご紹介します。
 昨年12月1日に行われた公明党会派の知事に対する予算要望会議の席上の話…。
 「国が支給している35万円の出産育児一時金に、府独自で5万円を上乗せし40万円を支給すべきでは
ないか」と太田房江知事に提案しました。
 これは、急激な少子化対策のなかで、平均出産費用が約40万円かかることや既に大阪市が独自で
40万円を支給しており、同じ大阪府民として不公平感があることから、第3子以降(府内約1万1000人で
5億5000万円)の子育ての経済的な負担を軽減し、出生率を高めようとの思いから提案したものです。
知事は、「ぜひ早速、やりましょう」と答弁。私たちは知事の即断に驚きましたが、そばにいた幹部職員
たちも驚き、私たちとは逆に知事にブレーキをかけたのです。即決とはいきませんでしたが、知事の
前向きな姿勢を感じました。
 翌年の2月に入り、知事より19年度から出産育児一時金を5万円増額する案の提示がありました。
しかし、対象者が国民健康保険加入者(約3000人で1億5000万円)に限定しており、再度、不公平を
招かないよう政府管掌保険(社会・組合・共済)も対象とするよう強く申し入れ、3月議会で全保険者が
対象となり実現しました。
 我々の提案を受け、わずか4カ月のスピードで実現した素早い対応には大きな評価をしています。
 二つめの話題…。
 小誌で何度も紹介してきました平成16年2月府議会代表質問で提案した「自販機による文化振興の
寄付制度」の話です。
 知事からも、ユニークな提案として検討したいと前向きな答弁があり、実現に向けて府の生活文化部
文化課が担当することになりました。
ところが、遅々として進まず2年が経過、業を煮やして昨年の9月定例会に議員条例として提案した
ところ、担当部署の違う府政策企画部から、条例と全く同様の制度を、「地域貢献企業バンク」を活用
して実施したい旨の申し入れがありました。
 条例を成立させること自体が目的ではないので、条例案は取り下げることで府の施策として昨年
11月に実現しました。
 今年3月から、ジャパンビバレッジが、4月からはアサヒ飲料、関西キリンビバレッジサービス、近畿
コカ・コーラボトリングの販売会社が名乗りを上げ、売り上げの1%を府の文化振興基金に入れて
もらえる事業がいよいよスタートしました。やろうと思えば、すぐにでも出来た制度です。やはり、巨大な
組織にあって、「職員のやる気が本質ではないか」と思います。


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