100 2007年12月号
太田知事の不出馬

当選バンザイ事件が決定的
「世間の風」が読めなかった知事 府民の目線が政治家の命

 太田房江知事の評判が、内外共にすこぶる悪くなっており、2度の選挙を支えてきた立場から府政運営や行動を、この「飛耳長目」でも度々、取り上げてきました。
 その原因のひとつに、2期目に入ってからの太田知事は「大阪府民への関心」よりも、「海外や国への関心」にあるのではないか。歴代知事のなかでも、飛び抜けて頻繁に海外出張するため、昨年5月府議会一般質問では、知事に「遠水近火」(目前の火事を消すのに、海には水がたくさんあるからと遠くから水を引いても意味がない事)を引用し、「外国も大切であるが、足元の大阪府内の実情にも目を向けるべきではないか。足元の府民の声をもっと大事にすべき」と苦言を呈しました。
 今年10月15日の府議会総務常任委員会では、幹部職員との関係を大切にするよう「忠告」しましたが、まったく意に介しない態度でした。
 その直後の11月1日、親族の自宅を東京後援会事務所費としていたこと。7日には中小企業30社による関西企業懇談会から20分程度の挨拶で100万円の講演料を受け取っていたことが発覚。
 太田知事は、記者会見で法的にはなんら問題がないと突っぱねました。政治家には「政治とカネ」が問われており、府民の目線、府民の感覚が分からなくなっています。たまりかねて16日、会派幹部で知事室に出向き、「謝罪を含めた対応をすべき」と1時間にわたり知事に直談判。20日に謝罪記者会見が開かれましたが、既に潮目は変わっていました。知事の認識が庶民の感覚と完全に乖離していることが露呈した記者会見でした。
 決定的になったのは、11月18日の大阪市長選開票時、8時半過ぎには平松候補選挙事務所に陣取り、当選のバンザイを行ったのにはビックリしました。
人の心情が読めない知事に多くの府民が失望したのは当然といえます。
 翌日の自民・公明府議にはテレビで「バンザイの光景」を見た大阪府民から批判の電話が入りだしました。民主党でも、「まったく選挙で応援もせずちゃっかりバンザイだけするのか」という批判の声に変わったのは皮肉ことでした。
 これでは、太田知事の3選目は難しいと11月30日までに自民・民主・公明会派が不支持を表明しました。
それでも、太田知事は3党に推薦を求めると表明。「世間の風」が読めない知事として一層状況は悪化。3党の府連が12月1日に不支持を決定。3日になって、知事が不出馬を表明。わずか1ヶ月余りで急転直下の幕切れとなりました。築城に3年、落城は3日といわれるように、同じ政治家として自分自身の戒めにしなければなりません。知事選は、1月10日告示、1月27日が投票日です。関西圏をリードし、大阪経済の活性化に手腕を発揮できる人、多くの府民の方から支持を頂ける素晴らしい候補者に出馬してもらいと考えます。


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