102 2008年3月号
橋下知事の実像

常にメディアを重視した作戦勝ち
ノック、太田、橋下知事の違い 戦々恐々の職員意識に変化

 橋下徹府知事が就任してから一ヶ月が過ぎました。連日、テレビ、新聞などのメデイアで取りあげられない日がないほどです。
 2月6日に知事が行った所信表明の要旨が各紙に掲載されることは初めてではないでしょうか。総理大臣並に毎日の行動を詳細に報道する新聞もあります。
毎週水曜日の午後2時が定例記者会見ですが、行事や会議の後で、待ちかまえた記者の質問に答える「ぶら下がり」で、思い切った発言をするものですから、記者達は常に目が離せず、「密着取材」を余儀なくされているのかも知れません。常にメディアを重視した知事の作戦勝ちと思います。
 府青少年会館の視察でも、職員とのやり取りを全て報道陣にオープンにし、知事が追及している場面がテレビで放映されると、府民は大きな喝采を送ります。テレビの影響を熟知しているからこその手法です。
NHKの生番組での"遅刻事件"でもあれだけの発言が出来るのも、感情的でなく民放を意識した計算尽くの"ケンカ"と思えます。いずれにしても、それだけ大阪が注目され、発信されることは良いことだと思います。

積極的に若手職員の中に入る知事

 就任した翌日には、都市整備部の現業部門が、経費をかけずに創意工夫したアイデアを持ち寄る「現場技術交流会」が府庁別館で行われていることを知り、飛び入りで参加し職員を激励したり、初登庁の議場挨拶でも若手職員を参加させ、3月からは、若手職員から意見を聞く「朝礼」を予定するなど職員との交流を大切にする姿勢に好感が持たれています。
 就任直後の「破産会社社員たれ」、「やる気のない人は府庁から去れ」、「分限免職も積極的に行う」という勇ましい発言や、事務事業のゼロベースでの見直し宣言から、戦々恐々とした職員は、反感よりも、積極的に取り組もうという意識に変わってきています。
 一方、前知事の太田房江さんは、一般職員とのコミュニケーションは少なく、交流は限られた幹部職員のみであったことは、この小誌でも度々、取り上げてきましたので皆さんもご承知のことでしょう。
 府民から意見を聞く「わいわいミーティング」も尻すぼみ、接触のすくない府内市町村長から公然と批判が出るほどでした。
足下が揺らいでいることを、敢えて一般質問や委員会でも取り上げましたが、理解されなかったことが今でも残念に思っています。
 職員から慕われた知事は、横山ノックさんでした。私と同じ平成7年に当選された時は、全会派が野党で議会では四面楚歌。
そのため、職員とは協調関係を構築したのは許せますが、知事自らの施策や方針決定には到らず、最後まで幹部職員の言いなりで知事という役を演じたノックさんは、職員にとってやりやすい知事であった事は間違いありません。
 橋下知事は、ノックさんように職員の心を掴みながら、言いなりにならないタイプでしょう。太田さんの欠点を徹底的に研究し、反面教師にしているフシが見て取れます。
公約通り、全てのものをゼロにするため、市町村からの厳しい批判を受けながらも4ヶ月という暫定予算の手法をとった橋下知事の行政手腕を見極める府議会がいよいよ始まりました。



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