103 2008年4月号
橋下知事の実像・2

3度の議事録削除は議会初
知事の「本音」発言が物議を お役人答弁は「建前」が本音

橋下徹大阪府知事にとっては初めての府議会本会議。知事選で敗れた民主党・共産党にとっては、手ぐすね引いて待ち受ける議会。 本会議や委員会質疑では知事との対決姿勢が目立ち、知事のエスカレートした答弁が3度にわたり議事録削減(下線)となりました。
 3月5日の自民党代表質問で、「教育委員会に命じます」と答弁したのは明らかに、教員の人事権がない知事のフライングで謝罪し議事録削除。
 2度目は、3月10日の同和問題の共産党一般質問の時。「ぜひ共産党さんがそのような主張を通されたいのであれば、多数派をとって頂いてから、それから私にぶつけて頂きたいと思います」と挑発答弁。
 3度目は、3月11日の民主党一般質問で、「183万票の府民の支持で誕生したが、ヒットラーも民主主義で誕生した」、「知事の出版物を回収せよ」と指摘され、反論できなかったことから、別の質問への答弁で「ある著書の一節を引きながら、前後の脈絡も関係なく、一つの言葉だけを引いて、そして答弁を与えないような、そういう卑怯な大人になってほしくないと思っています」のブチ切れ答弁。
 議事録削除は私にもありました。
枚方市議時代の平成2年第1回代表質問で、「A電鉄は、真っすぐに線路を敷設して、たんぼの真ん中に駅を作り、客が少ないので、駅周辺の開発や住宅地分譲などで客の確保に務めたが、B電鉄は客の住んでいる村落に線路を敷いたので、曲がりくねっているので乗り心地が悪い。駅前の再開発をしたくても、村落に乗り入れているので思うに任せない。枚方市の発想も、このB電鉄のようなものだ」という内容でした。
 この話はおおいに受けたのですが、電鉄会社を実名で言ったことが問題となり、会議録から495字が削除になっています。原本には載っていますが非公開です。
 お役所は、建前と本音の世界。どこの首長も本音を言いたいが、議場で議員に本音を言うと議会運営に支障がきたすから、なかなか言わないものです。
 橋下知事は、負けず嫌いで建前を言わず本音をいうタイプ。ありのままを言うから反発を招くわけですが、その本音で真正面から取り組もうとする姿勢が府民の共感を呼んでいると思います。府民の心情を背景に、建前でない本音の府庁を目指すことは賛成です。
したたかなお役人は、建前の言葉(本心から思ってもない言葉)で本音を言います。
「ご質問のご趣旨はごもっともで…」、「議員の貴重なご意見をいただき…」これは、議員の質問、意見を最大限尊重しているように聞こえますが、和歌の枕詞と同じで、何の意味ももたない儀礼上の言葉です。
「検討します」 の意味も、詳しく調べて当否を考えてみるだけのことで、質問趣旨の通りするかどうかわかりません。 ナゾナゾのような微妙な言い回し答弁から本音と建前の区別がわかるようになれば「本音の議員」です。


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