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105 2008年6月号 | |
橋下流メディア戦略
府初の府内43市町村行脚 |
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6月6日の朝刊を見られて府民の皆さんは驚かれたでしょう。 5日に発表された大阪維新プログラム案が、一面や社会面のトップに大きく掲載され異例の扱いです。大阪府政の実態を理解してもらえ有り難いものです。橋下徹知事の存在がなければあり得なかったでしょう。 大阪維新プログラム案のたたき台になった府財政再建PT試案が4月11日に発表された時、市町村長から猛反発を受けました。 その内容は本誌5月号で紹介した通りです。 市町村への影響が大きいことを感じた橋下知事は、大阪府始まって以来の行動に出ました。4月14日から約1ヶ月半(訪問日数は14日間)で府内43市町村全てを訪問、首長と意見交換をしたのは歴代知事では初めてでした。 訪問の目的は、財政再建PT試案の影響を受ける市町村への説明ですが、行脚の本音は、メディアに公開した意見交換では、激論にならず市町村との協調路線を印象づけたかったのではないかと私は思いました。 知事は来年度から市町村へ権限委譲するため補助金を交付金化する構想を描いており、受け皿となる市町村の力量、首長の「品定め」を自分の目で確かめたかったかもしれません。しかし、その行動力には感服しました。 前知事は、議会でも市町村長との対話を指摘されながら実現しなかったことを思うとこのスピード訪問は驚きです。 精力的な訪問によって、4月17日に行われた「涙」の市長会から続いていた険悪なムードも一部の市長を除いて好意的に捉え、改革姿勢に転じたことは、橋下知事の「政治力」といえます。その舞台裏では、橋下徹・府知事の緻密なメディア戦略がありました。 橋下知事が部局、労働組合、市町村、関係団体などと議論を挑んだ場所には、すべてメディアに公開しました。 特長的な激論は…。5月27日、府の出資法人である国際交流財団理事長と意見交換した際、府が拠出した44億円の返還を巡り知事と激論。23日、元府幹部である枚方市長には退職金の一部返還を寄付として求めて激論。 テレビで知事を批判している姿が報道されると、法律的な理屈は別として「知事をいじめるな」という声が殺到します。府民の目線から見ると橋下知事に軍配があがります。ケンカの勝ち方を熟知しているように見えます。結局、メディアを使い強烈なメッセージを発信し府民を味方につける「橋下流」の勝利で、向かうところ敵なしの状態です。 こんな話も…。6月5日は、知事と主要会派との大阪維新プログラム案について意見交換の日でした。午後1時からの公明会派のとき、会場入口で、あるマスコミの方から「午前中の自民、民主は、激論がなかったので記事にならない。公明さんはどうですかね!」と暗に激論を戦わしてくれと言わんばかりです。抵抗勢力を設定し「橋下劇場」を面白くしようとするのは、知事とメディア の合作かもしれません。
橋下知事の府内43市町村の訪問日程 |
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