107 2008年8月号
7月臨時議会の攻防

夜明けの常任委員会はなぜ?
知事に遠慮した優しい質問? メディア優先戦略は程々に

 総務常任委の知事質問が終わったのが7月19日の午前4時40分。夜明けの委員会となりました。この前日18日午前10時から始まった商工労働常任委を皮切りに最後の総務委までぶっ通しで16時間40分が経過していました。なぜこのようなことになったのでしょう。
 7月11日、知事から正副議長に人件費と私学助成費の訂正案を提出したい旨の申し入れがありました。当初の議案修正はしないという予想に反し、6月25日に平成20年度一般会計予算案を発表後、府議会の代表、一般質問で、人件費や私学助成費に対する反対意見が続出したため、議会側に配慮して知事側から議案訂正になりました。
 議案書の訂正作業に3日間を要するため、23日迄の会期を守ろうとすれば、19日から21日まで3連休になるため、知事質問日程を18日までに終決しなければなりません。
正副議長として、会期延長すれば、議会歳費などの削減を審議していることや延長による経費負担増を考えると会期内で行うことが賢明と判断し、各会派の協力を求めました。
 その結果、常任委の知事質問は、17、18日の2日間(別表)で行うことになり、タイトな日程のため、議長団は時間短縮の配慮を各委員会にお願いしましたが、68人の委員が質問にたち延べ19時間52分の審議となりました。注目された審議なので、多くの委員が、持ち時間をフルに使ったため予想外の長丁場になったのは議長団の誤算でした。
 ところで、7月臨時議会の特長は、知事への質問が、やさしく、追及というより遠慮したお願いに近い印象でした。野党的な立場の民主、共産も厳しいものでなく実にあっさりしたものでした。
常にメデイア戦略にたけた知事相手では、見方によれば抵抗勢力ととられかねない遠慮が働いたのかもしれません。

 7月議会が終了した直後の7月31日、知事は、伊丹空港廃止を突然、メディアに表明。廃止の権限は府知事になく、発言のウラには、関西空港から路線撤退を表明している日航や全日空への揺さぶりか、また、関西空港救済のメッセージなのか、知事から議会へのメッセージがなく真意は伝わってきません。
 また、大阪府庁をWTCへ移転する案も8月3日の新聞報道で知りました。このような案があるなら7月議会で示せたはずです。
 知事は議会の意見を最大限に尊重するといいながら、メディアを通じ府民にメッセージを送る手法は、議論を呼ぶ効果が期待できても、真摯に議会で議論する場を放棄しているように思えます。
 知事は、いつまでもメディアを優先するのでなく、きちっと府民の代表である議会に提示し、広く議論し、その中身をメディアに公開する体制をとらなければなりません。

  常任委員会別の知事質問時間一覧


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