114 2009年7月号 | |
知事の首長連合構想
政党支持賛同市長は一人 |
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今回も橋下徹大阪府知事の話― 6月26日、知事特別秘書から府内の43市町村長にメールが送信されました。 7月1日にKKRホテル大阪で、「地方分権改革を大阪から推進しようとする私の考えを聞いていただく会」を開催するための案内で、返答は30日までというタイトな呼びかけでした。当日、出席した首長は24人(末尾参照)。 冒頭、知事から「地方の首長は支持政党を明確にして、国への圧力団体になるべきだ。」、「立ち上がらない(首長は)勇気がない」と支持政党の表明を呼びかけましたが、知事の提案に賛同したのはわずか1人。 府内の多くの首長は複数の政党から支持を得て当選しており、自民・公明の支持で当選したといえメディアを活用し圧倒的な知名度と人気を背景にして、自由奔放に意見を言える知事とは“立ち位置”が違います。 府内には特定の政党が過半数を占めている議会はなく、複数の政党の支持がなければ行政運営できない現状では、知事の提案は最初から無理があります。 聡明な知事からすると首長の立場を理解されているはずなのですが…?。 それでも知事は、1人になっても支持政党を表明したい姿勢を示されていますが、知事が態度表明しても、知事を支持した府民にはそれぞれ支持する政党があり、知事の態度に同調することはないと考えます。 かつて知事が言われた「私の考えは府民の意見です」と思われているなら論外です。 衆院選を目前にした自民党や民主党を天秤にかけ、マニフェストを返させようとする“政治力”は知事ならではの仕業であり、国に対して強い姿勢で地方分権を迫る行動力には大きな評価をしています。 その“政治力“が、大阪府民のための政策や事業に反映させることが知事の責務と考えます。 東国原英夫・宮崎県知事や中田宏・横浜市長、中村時広・松山市長、露木順一・開成町長(神奈川県)らと頻繁に連係されていますが、地方の首長が連合体を結成し、地方分権を訴えることは賛成です。 しかし、6月26日朝の知事記者会見で、「国政を担う自民・公明・民主に対抗するような形で地方自治の政党、政治集団がない限り、絶対に地方分権、地域主権というものはあり得ない」と語られたことが気になります。 知事就任以来1年5ヶ月。大阪府政でなく、志半ばで新たな政治のステージを目指すのは、支持した府民の思いとはかけ離れたものになるでしょう。 今回の知事らの政党への働きかけでメディアが大きく取りあげ近づく衆院選は、「地方分権」が最大のテーマになるかも知れません。 「霞ヶ関解体」、「府庁解体」と既成のものを壊すことを得意とする知事の手法の先に、どのような大阪を作り出すのか、「地方分権」によって府民にどのようなメリットがあるのかの説明が不足しています。 地方への大幅な権限移譲、税財源移譲、国直轄事業負担金廃止等の「地方分権」の流れが、首長だけのメリットにしてはなりません。
【7月1日の会合に参加した首長】敬称略 |
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