120 2010年2月号
知事の高い支持率の理由

過激なメッセージ連発
府市統合の本音は別に? 生活に直結した政策実現を

 橋下徹府知事が2月6日に、就任から2年を迎え新聞各社は、世論調査を発表しました。80%を超える高い支持率は驚異的。オバマ米国大統領や鳩山首相始め政治家の支持率が、日がたつにつれ普通は下落するのに高い支持率を維持している理由はどこにあるのでしょうか。
 各社の調査で「支持する」で共通するのは、強いリーダーシップです。府民の皆さんは、就任直後の財政再建の取り組みをメディアを通じて知られ、印象に残っていると思います。次々と府民に意表をつく過激なメッセージを送り続ける知事の発進力が影響していると考えます。知事の発言が思いつきでなく、私は計算し尽くされたものと思っています。
 たとえば、米軍普天間基地移転を関西国際空港に受け入れることを表明したのも、伊丹空港廃港を強く言い続けるのも、ホンネは関空経営問題をアピールさせるためでしょう。
ブチあげた後で、世論の反応を見極め、関心を呼び起こせると思えば、正論になるように論理立てしていく手法です。だめだと思えば何の躊躇もなく取り下げされます。
 最近の例では、府水道と大阪市水道事業の統合実現に情熱を燃やす知事は、府内市町村や府水道部が大反対する市提案の「指定管理者方式」を唯一の案であると丸呑みし統合に持ち込もうとしました。府内42市町村が大阪市の指定管理者方式を拒否し、企業団結成に合意すると、いとも簡単に企業団方式を評価する「変わり身の早さ」には驚きました。これまで知事の指示を受け2年間を費やしてきた府水道部の落胆と不信感は深いと思います。
 メディアが知事のこれらの行動や責任を批判することもなく見逃すとことで知事の支持率アップに貢献しているのかも知れません。
最近では、府と大阪市を統合する構想を打ち上げました。昔から、「(府市あわせ)は不幸せ」と言われるくらい府と市は仲が悪く、同じような施策や事業を張り合って行ってきたと揶揄されるほどです。私も無駄や合理性の視点から府市統合案には賛成です。
 しかし、知事自身の構想を実現させようと強引なやり方に、平松大阪市長が反発されています。本音は、賛同する人を来年の地方統一選挙に推薦するが、同意しない人は排除する趣旨を明らかにしたことから、知事の府市統合構想の実現よりも、賛同する人を集め「橋下新党」を目指すようです。府市統合を目指すのでなく、知事の独裁的議会体制を作ろうということになります。
 二元代表制の地方議会では、首長へのチェック機能として議員が存在します。これでは大政翼賛会です。首長を唯一チェック出来るのが議会の役割であり、最初から知事の思い通りに政策実現に賛同することは議員の存在を放棄することになります。
 知事が記者会見などで「私の意見は民意だ」と独裁的な発言をするのも高い支持率が背景にあります。圧倒的な支持を背景に強気な行動は理解できますが、世論調査でも実積に対する評価は低く、府民生活に影響の大きい経済、景気、医療対策等が求められています。
 パフォーマンスだけでは府政運営にもかげりが見えます。知事就任時は、大阪府の完全失業率が全国43位であったものが、昨年7〜9月の完全失業率7.7%は沖縄県にも抜かれ全国最下位の最悪の状態になりました。
 折り返しの3年目、生活に直結する現実的な政策の取り組みをしなければなりません。


Copyright(C)2010 Kazuo Suzuki. All Rights Reserved.