122 2010年5月号
高速道路新料金制度は迷走

無料化でなく値上げに
「人からコンクリート」へ 再見直しで与党間対立

 民主党は、昨年の衆院選のマニフェストで高速道路無料化を掲げました。
国土交通省が4月9日に発表した6月からの新料金制度では、全国の高速道路の18%を無料化するとしていますが、主に地方の37路線50区間の1626qの総延長距離の数字です。
新料金の財源は約1000億円で年間通行料金売り上げ2兆円の約5%に過ぎず、18%が無料というのは詐欺みたいなものです。
 そして、軽自動車・エコカー1000円、普通車2000円、中・大型車5000円の上限料金を設定しましたが、その代わりに年間5000億円規模の恒久的措置としていた通勤・深夜割引制度を廃止したことで、近距離利用者には実質的な値上がりになります。運送事業者などの反発も大きく物流コストにも影響します。
 このことが選挙に影響すると判断した小沢一郎幹事長や閣僚から猛反発が起こりました。政府の法案提出後に与党から反対すること極めて異例で混迷を深めています。
 民主党は無料化するため公共事業費を大幅削減し、約2兆5000億円の財源を確保しましたが、昨年12月に、小沢氏が、「道路建設の促進」を強く求めたため、気遣った政府は財源から1兆4000億円を道路建設に回したので中途半端な割引制度になりました。

小沢氏の横やりで国交大臣反発
 小沢氏の再度の横やりで、民主党の「コンクリートから人へ」は、「人からコンクリート」に逆戻りで矛盾した政策になりました。そのため、はしごを外された形の前原国交大臣は反発されています。
 政策決定は内閣で行うとしながら、小沢氏の意見で二転三転する鳩山政権の存在は末期症状です。
 現在、高速道路料金割引の財源を道路整備に回す道路財政特別措置法の改正は国会で審議されていますが、小沢氏と前原大臣の与党同士の対決は、選挙を前にして得策でなく国会審議を通じる形で両者の“手打ち”を図り政治的妥協するのではと思われます。
 財源確保もしないままで、「道路も整備し、料金も無料化する」というのは明らかに参院選目当てであり、選挙を意識して基本的な道路政策を決めきれない鳩山政権に国民の多くは不信を抱いています。国会で利用者の視点から、道路建設の必要性、高速料金体系などの道路政策を真剣に議論すべきです。
 この紙面でも何度も指摘してきたように、京都・大阪間の第2京阪道路から近畿自動車道、阪神高速道路を乗り継ぐ場合、西日本高速道路鰍ニ阪神高速道路鰍イとに料金体系が異なり一元化すべきです。複雑で割高な路線は全国的に数多くあり、これらこそ利用者の視点で見直すことが大事なことです。

第2京阪開通1ヶ月調査 国道1号線が大幅に渋滞緩和
 3月20日に全線開通した第2京阪道路の通行状況調査を西日本高速道路株式会社が発表しました。
 開通後1ヶ月で自動車専用部は1日平均約3万3000台、側道部は約2万6000台。
名神高速の吹田JCTから大山崎JCT間が1万1000台減って、12万4000台渋滞回数も約3割減り38回になりました。
 国道1号線は1万台減り6万1000台となり、第2京阪にシフトされたことがうかがえます。枚方市内の国道1号線や府道京都守口線の渋滞が大きく緩和され第2京阪道路開通の効果が現れています。



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