126 2010年10月号
維新の会の定数削減案

一票の格差が拡大
大阪都構想と矛盾 最大会派の責任求む

大阪維新の会は、9月府議会に議員定数112人(62選挙区)を88人に削減する条例案を提出しようと9月15日の議会運営委員会理事会に示しました。
 それによると人口10万人に一人の議員選出を根拠として、生野区、城東区、住之江区、住吉区、東住吉区、平野区、西成区、堺堺区、堺西区、堺南区、堺北区、豊中市、吹田市、高槻市・三島郡、守口市、枚方市、八尾市、富田林市・南河内郡、寝屋川市、松原市、大東市、門真市の22選挙を1人減に、東大阪市を2人減にした24人の削減案です。
議員定数を削減することは、大賛成ですし、これまでも公明党会派は削減を府議会で提案してきました。
 しかし、今回の大阪維新の会の提案には三つの問題点があります。
 一つ目に、選挙区を変えずに、単純に人口10万人に一人を機械的に当てはめているため、現行の一票の格差は、浪速区(人口54,174人)に対して、堺市東区・美原区(同124,027人)の2,29倍ですが、今回の維新案では、浪速区と富田林市及び南河内郡(同162,403人)の格差が一気に3倍になります。
 違憲といわれる一票の格差をさらに拡大する改正案は理解が出来ません。
 二つ目に、維新の会の大阪都構想では、大阪市24区を8から9特別区にする分割案や分市案を強く主張しました。当然に選挙区を分割した案でなければ大阪都構想との整合性がとれず矛盾します。選挙区を9区に合区すれば一票の格差を是正することは可能です。定数削減の本気度がみえません。
 三つ目に、昨年の9月府議会で、定数3減の条例改正案を全会派一致で可決し、来年の統一選から実施されることになっています。維新の会も提案者で賛成したにもかかわらず、なぜそのときに提案されなかったか、今回新たに提案された根拠を説明すべきです。
大阪市会でも、9月17日に維新の会から議員定数89人を45人に半減する条例改正案が提出されましたが、府議会と同じ構図です。
 かつて設置された府議会議員定数等調査特別委員会での我が会派の削減案では、定数削減と一票の格差を是正するため、選挙区の合区を提案、中央区・天王寺区(定数2人→1人)、西区・港区・浪速区(同3→2)、大正区・住之江区(同3→2)、大東市・四条畷市(同3→2)、枚方市・交野市(同6→5)、泉佐野市・泉南市・阪南市・泉南郡(同4→3)の6選挙区に合区し定数を6人減。平野区(同3→2)、堺市全区(同10→9)、東大阪市(同7→6)、豊中市(同5→4)、八尾市(同4→3)、高槻市・三島郡(同5→4)の5選挙区から6人減を提案。これにより一票の格差は松原市に対し河内長野市の1.83倍に縮小されます。
 大阪都構想は、当初の分区案から分市案に変更し、10月9日には分市案が非現実的でないと撤回するなど明確でなく未だに具体的な中身が示めされていません。議論するためにもイメージでなく具体的な政策を示して頂かなければなりません。維新の会は、今や府議会で最大会派であり責任ある提案を望みます。そうでなければ今回の議員定数削減案は、来春の統一選向けのパフォーマンスと言われても仕方ありません。

■来年の地方統一選の日程
 都道府県議選挙は、平成23年4月10日投開票、告示は1日。一般市議選挙は、平成23年4月24日投開票、告示は17日、町村は19日に決まりました。



Copyright(C)2010 Kazuo Suzuki. All Rights Reserved.