バックナンバー 2011年 夏月号
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1.5〜6月定例府議会は異例の展開に

★維新の会が強行採決を連発
 大阪府議会の改選後初めての定例議会がこの程、終了しました。この議会は、通例であれば、正副議長や各委員会の所属の割り振りなど、議会役員選出が中心ですが、新聞・テレビなどで報じられたように、今年は異例の展開となりました。
 維新の会は、この議会に、
  1. 国旗掲揚と君が代斉唱時の起立条例
  2. 監査委員の議会選出枠の削減
  3. 大都市制度のあり方を検討する協議会の設置のための条例
  4. 大阪府議会議員の定数と選挙区の定数を決める条例
の4点を今議会で可決したいとして、提案しました。これまで府議会では、どの会派であっても、議会で条例を提案し、審議するためには、他会派が最低でも2〜3ヶ月位の審議期間を保障してきました。しかし、今回は、11月に実施される選挙に向けて、何が何でも「成果」として示したいために、公明や自民・民主の強い反対の中でも、数で決着をつけるという姿勢を崩しませんでした。
 議論の末に採決なら仕方がありませんが、誰が考えても、例えば、4年先の大阪府議会議員選挙の定数や各選挙区の定数を、選挙直後の5月定例会で審議もせずに決めなければならないなどというのは、大問題です。中村議員らは、1票の格差是正や飛び地の解消など、しっかりとした議論をするため、「特別委員会」などを設置して、ここで提案されている条例案を審議していくべきだと主張しましたが、委員会で議論する必要はないと、維新の会は譲らず、議長も当然採決すべきだと、強硬な議会運営を行いました。
採決直後、抗議の記者会見を行なう
3会派の代表(左が中村議員)
 これに対して、中村議員らは採決に応じられないと、退場して抗議しました。

★副議長が辞職届を提出
 また、上野副議長は、強硬な議会運営には耐えられないと抗議し、副議長の辞職届を提出しました。これに対して浅田議長と維新の会は、「全会一致で選出された副議長でもあり、ぜひ辞表を撤回してほしい」と、慰留を行っていますが、上野副議長の辞意は固く、平行線となっています。

2.危機管理・エネルギーなどを見直し

 福島県の原子力発電所の事故は今なお収束せず、広範囲の住民が避難せざるを得ないなどの危機的な状況が続いています。
 これまで、国と電力会社は原発の危険性が指摘されてきたにも関わらず、「電力確保に不可欠で環境に最も優しい。原発は安全だ」と言い切り、危険性を指摘する人達を敵視するかのような対応をとってきました。大事故が起ってから、やっと「原発の危険性」が広く論じられ、多くの国民がその危険性を認識し、「快適さ・便利さよりも安全だ」と、節電などへの意識も高まってきました。5月15日、原発の危険性を検証し、もんじゅの再運転を止めようという関西集会などが開かれ、多くの市民が参加しました。また、国会からは民主党・新緑風会の平山誠参議院議員、社民党の福島瑞穂代表も出席し見解を述べました。



 中村議員は、「今からでも遅くはない。『もんじゅ』や『再処理工場』などをどうするのか、わが国のエネルギー政策はどうあればよいのか、府民の安全をどう守っていくのかなどの国民的議論を興していかなければならない」と述べました。
 また、6月11にも同様の行事が大阪市内など各地で繰り広げられました。


3.食の安全へ全力を

 中村議員は4月の選挙で、5大公約を示しました。特に、東日本大震災という未曾有の大災害を貴重な教訓にして、安全・安心の大阪づくりを第一に掲げ、その実現に努めると約束しました。
 そして、府民が安全安心に暮らせるためには、地震や津波、台風、集中豪雨などの自然災害に対する備えだけでは十分とは言えません。これらに加えて、ひったくりなどの街頭犯罪や凶悪な事件などへの治安対策の強化、交通安全対策、食の安全対策などにしっかりと取組むことも大切です。
 とりわけ近年、「食の安全」が脅かされている中、福島の原子力発電所の事故による放射線漏れで、福島県以外の地域でも多くの農畜産物が汚染され、深刻な事態を引き起しています。生産・流通・販売のそれぞれの段階でしっかりとチェックができる体制づくりが重要です。そのためには資機材の整備充実に努めるとともに、府と政令市・一般市が「オール大阪」で取組むことが必要です。
 さらに4月末、生肉のユッケを食べて病原性大腸菌O111に感染し、数人が死亡するという食中毒事件が発生し、大問題になっています。中村議員は早速、府の「食の安全推進課」や保健所などを通じ、食中毒状況を調査するとともに、梅雨に向かう時期でもあり、一層の食中毒対策を求めました。

  昨年の府内での食中毒発生状況 (1頁/PDF/12KB)


4.国の施策・予算へ知事らが提案と要望

 橋下知事や警察本部長・教育長ら府の幹部は6月11日、民主党国会議員団に対して、来年度の施策・予算に関しての提案と要望の説明会を行いました。また、中村議員ら民主党府議団も同席しました。
 説明会の冒頭、中村議員は府議団を代表して、次のような挨拶を行いました。

右写真:挨拶する中村議員(左隣が橋下知事)

◎ 挨拶
  … 略 …  昨年の国への提案・要望に際しては多大なご尽力をいただいた。その結果、関西国際空港は去る5月17日、伊丹空港との経営統合法案が可決し、経営の強化に向けた取組みが進んでいる。また、国の出先機関の原則廃止に向け、昨年末に「アクション・プラン」が閣議決定され、関西広域連合への丸ごと移管に向けての取組みが進められるようになった。警察基盤の強化充実についても、昨年、街頭犯罪とひったくりのワーストワンを返上したが、いっそうの充実強化に向けて引き続き、警察官の増員を確保できた。このように課題が前進しているものの一方で、まったく手付かずのものもあり、今後ともしっかりとした対応をお願いしたい。
 また、3月に発生した東日本大震災から今日でちょうど3ヶ月になる。この大震災は、被災地における直接的な被害にとどまらず、わが国の国民生活全般に多大な影響を及ぼしている。現地の大変な状況や各地への様々な影響を知るにつけ、早期の復興・復旧に向けてあらゆる手段を講じる必要があると痛感する。今後、今回のような災害が発生したとき、国民・府民の生活を守っていくために府は何をなすべきか、これからの大阪・関西はわが国の中でどのような役割を果たしていくのか、などの課題にしつかりと取組んでいく。
 今日はこのような趣旨を理解され、ぜひとも強力なお力添えをお願いしたい。
 説明会では、
  1. 集中型の国土構造の転換
    大阪・関西の位置づけの明確化
    地方分権改革の推進  など
  2. 大都市圏の成長を通じた日本の再生
    大都市圏の競争環境の整備
    都市基盤整備の強化  など
  3. 大震災を踏まえた対応
  4. 持続可能なセーフティネットの整備
  5. 子どもの学びと育みを支える教育施策の充実
  6. 安全な街を確立するための警察基盤の充実強化
  7. 新たなエネルギー社会づくりの推進    などが取り上げられました。
 この説明会での資料がお入用の方は 事務所 へご連絡ください。

5.府立高等職業技術専門校開設へ前進

 津田サイエンスヒルズに建設が計画されている「府立高等職業技術専門校の北部校」がいよいよ、整備に向けて動き出しました。
 府はこのほど、北部校の建設工事の入札公告を行い、7月26日に開札されることになっています。これが9月定例府議会に提案され、11月からの着工で、平成25年度4月オープンとなる予定です。

 ここで訓練されるのは、8科目で、

  1. NC微細加工科
  2. ロボット技術科
  3. ものづくり基盤技術科
  4. 組込みシステム科
  5. 新エネルギーシステム科
  6. 建築設計科
  7. リフォームクリエイティブ科
  8. 就労実務実践科
の計画で、各科目1年間、年間定員は230人です。

 中村議員は、これを担当する商工労働部雇用推進室に対して、「待望の施設であるだけに、25年4月開校に向けてしっかりと取り組んでほしい」と、要請しました。


6.津波高潮ステーションを見学

 中村議員ら民主ネット議員団は6月6日、大阪市西区にある「津波高潮ステーション」を訪れ、府の現在の防災対策を聞くとともに、堺市や高石市の海岸に設けられている「防潮堤」も訪問し、防災対策とともに避難計画など、今後の対策についての勉強会を行いました。所長の説明では、東日本大震災後、この施設が注目され、最近は子供たちの社会学習としての見学が相当増えてきているとのことです。
 中村議員らは、迫力満点の津波・高潮の襲ってくる映像などを見、「府の防災計画の見直しは待ったなしだ。早急に進めなければならない。また、知事が咲洲に移そうとしている庁舎移転の話などはあってはならない」と、強く述べました。

右写真:防潮堤で記念撮影(右端が中村議員)


7.中学校給食実施へ府教育委員会が「案」を示す

 橋下知事は、大阪府の中学校給食の実施率が全国平均よりも相当に低いため、中学校給食を府内全域で実施したいと発言。これに応えて府教委は、新たな補助制度の枠組みを示しました。これは平成23年度から27年度までの5年間で、次のようなものです。
  1. 施設整備費の定率補助   実額に対して50%
  2. 施設整備以外のイニシャルコストに対して定額補助
  3. 用地取得費には原則として補助はしないが、特別な事情があるときは特例
  4. 補助金の上限を設定  過度な施設整備を抑制
 これらについては、一般市町村のみで、大阪市などの政令指定都市は省かれます。また、補助制度とは別に、財政状況の厳しい市町村には府が新たに貸付制度を作ることになっています。
 これらを審議する「教育常任委員会」で、知事は民主党の議員が質問したテーマで、またまた持論を展開しました。
民主党議員と知事の質問・答弁

質問   施設整備に要する費用を府が補助しようという趣旨は理解できる。しかし、自治体によっては財政力に大きな違いがあり、当初は補助があって整備はできても、毎年毎年の運営のための予算は莫大なものが必要となるため、導入を躊躇するということもある。その運営費に対しての補助などについてはどう考えているのか 

答弁   そのような考え方はおかしい。中学校給食を実施するのにお金がないんだったら、固定資産税や市民税を上げればよい。そうすれば、市民から「税金を上げるとはどういうことだ。なぜ、行財政改革をもっとやらないのか。職員の給料を下げればすぐに財源は浮いてくる」と、厳しい批判が出されると思う。それが市民自治・住民自治で、市の活性化につながるのだ。5%くらいの職員給与をカットすればすぐにできる。

 中村議員らは、「中学校給食を否定する人は少ないが、市町村にはそれぞれの緊急を要する課題が数多くある。耐震化の真っ最中というところもあれば、清掃工場などの建設費がかさみ、今すぐ導入するにはとても財政が許さない……などの事情がある。これを市町村に押し付けるのではなく、市町村の実情にあった対応が必要だ」と述べました。


8.中村議員が大都市制度協議会や財政基本条例に対して質問

 中村議員は、5月定例会に提案され、委員会付託となった 【1】財政運営基本条例案、 【2】大都市制度の在り方を議論する協議会の設置条例に対して質問を行いました。

★財政運営基本条例
 将来の世代に負担を先送りしない、中長期的な展望をしっかりとさせる、府民の信頼感を高めるなどのため、府が財政運営のためのルールを作るというものです。
 中村議員は、「財政運営で、収入の範囲内の予算を組むなどと言っているが、支出の際のいろいろなルールだけではなく、収入の際のルール作りにも力を入れなければならない。また、他の都道府県における実施状況を勘案してというのは、いつも横並び、府の独自性が全く示されず、さらに、他都市よりも優れた施策を実施している場合、それを理由に見直ししていく言い訳になってしまうことがある。もっと十分な議論が必要だと、継続した審議を求めました。
 各会派からの質問もほぼ同様で、この議案は次の定例議会まで継続して審議されるようになりました。


委員会で質問する中村議員 (↑ →)


★大都市制度協議会
 橋下知事が春の統一地方選挙で、大阪市を解体し、府が強力な指導力を持てる「大阪都構想」を実現するため、5月定例府議会に維新の会からの議員提案という形の「条例案」が出され、これが総務常任委員会に付託され、審議されました。
 この条例案は
  1. 9 月末までに結論を出す
  2. 大阪府・大阪市・堺市が同一テーブルに着く
  3. 結論は過半数で決める
などとなっています。
 また、委員会での質疑で維新の会は、「9月までというのは、11月に予定されている大阪市長と大阪府知事のダブル選挙の争点として据えるためだ」と答え、維新の会の考え方・方針を議会という公的機関に認知させようという目論見ではないかと疑われると、各会派から厳しい質問が相次ぎました。
 この議案は、どうしても数で押し切ろうとする維新の会の暴挙に抗議すると、民主・自民・公明などは採決を拒否し、議場から退席しました。


9.報酬審議会委員と意見交換

 中村議員や各会派の代表は6月30日、大阪府の報酬などのあり方を審議している委員全員との意見交換を行いました。
 報酬審議会はこれまで、府のさまざまな機関(教育委員会・人事委員会など)の委員との懇談・意見交換を実施しており、この日は、「府議会議員の日常活動は一体どんなものか」などを中心に意見交換をしたいというものです。
 各会派が順に、議会活動・政務調査活動・地元活動や政党の活動などの実態を報告しました。

説明する中村議員(正面の右から5人目)

右側が審議会委員
 中村議員は、「議会開会中の活動がどんなものであるのかというのは大抵の人が知っている。しかし、議会閉会中の活動については識者であっても、具体的な中身はほとんど知らない。また、そのため、議員はわずかな議会に出るだけで大変な報酬を得ているなどという声も出される。私から、直近のありのままをお伝えしたい」と、6月19日(日)から25日(土)までの1週間の行動を資料にして語りました。

 中村議員は活動を大きく分野別に分けると、

  1. 議会の委員会などに出席する議会活動
  2. 会派の政務調査活動(勉強会や政策形成に向けた議論など)
  3. 議員個人としての政務調査活動や要望受けなど
  4. 議員の後援会活動・地盤培養活動など
  5. 所属政党の活動
  6. その他
の6分類になると説明し、おおまかにその比率を分析すると、それぞれ[1]が10%、[2]が15%、[3]が40%、[4]が20%、[5]が10%、[6]が5%程度の割合になっていると述べました。もちろん、議会開会中は[1]、[2]の比率が大幅にアップし、[3]、[4]、[5]の割合が僅かになります。
 意見交換会では、審議会のメンバーの一人が、アメリカやヨーロッパの一部の例を取り上げ、政治制度をはじめとするさまざまな制度の違いがあるにもかかわらず、単純に住民一人当たりの費用負担は日本が異常に高いなどの持論を展開し、これに対する各会派の見解を求めました。
 これに対しては、各会派は中身の違いを論じないで、単純な比較をすることは何一つ意味がないことなどを説明しました。また、執拗なこの委員の発言を委員長が止める一幕もありましたが、活発な議論が展開されました。
 中村議員はこの中で、「国会議員は公費で3人の秘書が認められている。せめて1人でも公費負担の職員が我々都道府県会議員に認められていれば、政務調査費の按分率などに苦労しないし、もっと政務調査活動を充実でき、議会活動を活性化できる。これは正直な思いだ」と述べました。

  中村議員が審議会で示した最近の1週間の活動


10.東日本の被災地からの報告を聞く

  中村議員ら民主ネット議員団は6月27日、岩手県へ派遣されていた大阪府の担当者から現地の生々しい報告を聞くとともに、今後に向けた支援体制のあり方などについて検討しました。

右写真:報告を聞く議員団

 岩手県から帰阪した危機管理室の芳本氏は、避難所での暮らし・仮設住宅の暮らしと問題点、さらに多くの支援物資が集められている状況や、設置された浴場の利用のあり方などを自らが撮影した写真などで詳細に報告。例えば、救援物資では毛布・飲料水などが相当だぶつき、集積場に山と積まれている姿などを目の当たりにしました。
 中村議員らは今月、現地を訪れて、支援活動を展開している人達の話を聞くとともに、今なお整備されていない現場を訪問し、府の危機管理体制・防災体制はどうあればよいかなどを学ぶことにしています。


 大阪府議会議員 中村哲之助ホームページ