バックナンバー 2016年 秋号
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1.先進都市の施策を視察
 中村議員は11月11日と12日、長野県千曲市と富山県高岡市を訪問し、それぞれの先進的な取組みを視察しましたので、報告します。

@11月11日 長野県千曲市の病児・病後児保育

 千曲市が全国で唯一、トレーラーを病児保育施設に転用し、地域の皆さんに高く評価されていることを知り、現地を視察したものです。
 この日は、朝早く自宅を出て、京都駅へ向かい、新幹線で名古屋へ、そこから中央本線に乗り換え塩尻、さらに篠ノ井線で篠ノ井駅、しなの鉄道で屋代駅へと向かいました。名古屋からだけでも3時間を要します。
 市議会事務局の佐藤さんが屋代駅でお迎えくださり、早速、病児・病後児保育施設≪あぷりこっこ≫のある「千曲中央病院」を訪問しました。
ここでは、理事長でもある大西病院長がお忙しい中をわざわざお迎えくださり、ご挨拶を受けました。午後からの診察のため、大西院長は短時間の同席でしたが、塚田医事課長、さらに千曲市の次世代支援部こどもみらい課の滝沢課長、次世代支援係の宮島係長から、様々な説明を受けました。

施設の全景

トレーラーであったことが良く分かる保育施設

隔離用の個室

トイレの横にはシャワーも設置されている
私から千曲市に対しての質問概要は、
  1.  千曲市内の保育需要はどのような状況であるのか。近年の変化は。
  2.  公立・私立の分布状況と保護者の負担はどの程度か。
  3.  保育形態はどうなっているのか。
  4.   長時間、夜間、短期保育等。
  5.  女性の就労状況はどうなっているのか。また、いわゆるM字カーブは他市と比較してどう違うか。
  6.  県内における病児保育・病後児保育の状況はどうなっているのか。とりわけ、医療機関の支援体制と取組み状況。
  7.   この費用はどのようになっているのか。保護者負担はどの程度か。
  8.  なぜ、トレーラー型を考え出したのか。
  9.  このメリット・デメリットはどうか。今後もこの形態を拡充するのか。
という8項目で、あらかじめ、これらをお知らせしていましたので、詳細にご説明いただき、これ以外の経過や現状などについてもお話いただきました。
 千曲市では大阪の状況とほぼ同様に、3歳以上児よりも未満児の需要が極めて強いこと、病児保育では県内77市町村の内、19市2町で病児保育を実施していること、それも大半が医療機関と連携を図って実施しているとのことです。
 特にトレーラーを保育施設にしたことについては、市から千曲中央病院に「病児・病後児保育の設置場所を検討してほしい」と言われた際、当初は病床を潰して病棟内に開設する予定であったものの、病床を潰してしまうリスクが大きく、病棟外に設置することになり、その検討過程でトレーラーハウスを活用する案が出され、このような形になったとのことです。トレーラーハウスは建築確認申請が不要で、届け出だけでOKというのも助かったとのことです。ここは床暖房も整備され、訪問した時は半分だけONになっていました。
 トレーラーハウスによることのメリットとしては、他の患者との接触がないことから感染の可能性が非常に低いこと、病院の駐車場に設置されているため、保護者が子どもを預けに来る際、移動距離が短いこと、必要に応じて施設自体を移動できることなどです。
 また、デメリットとしては、隔離部屋(1人用が2部屋)を作っているものの、トイレへの移動の際、他の子どもと接触する恐れがあること、定員は6人であるが、3人を超えるとやはり狭く感じるなどの問題が出されました。(この施設は出入り口がほぼ中央にあり、右奥に隔離室が2部屋、左奥にトイレがあり、中央が隔離の不要な子ども達の保育室)
 この施設の利用は原則、千曲市住民ですが、千曲市で働く他の市町村の人でも受け入れをしています。今後、千曲市を含めた近隣市町村がお互いに連携を強め、相互に施設利用などが可能なようにしていく予定だとのことです。
大阪のように設置場所の確保が困難な地域では、千曲市のようにトレーラーハウスの病児保育施設はぜひ導入すべきだと思います。何よりも移動が可能というのが魅力ですし、耐震問題もありません。
 ちなみに、「行政関係者の視察は時々あるものの、現職の議員が来られたのは初めてです」とのことでした。

A11月12日 富山県高岡市の中学校土曜学習


 高岡市の中学校土曜学習を見学したいと思ったのは、私が時々議会図書室で拝見しているディーファイルで紹介されていたのを目にしたからです。
 市が公費で、土曜日に公設施設を利用して、教員のOB.OGや大学生が直接生徒にアドバイスする全国でも画期的な手法です。
 市内の中学生が休日を過ごす受け皿の一つとして、中学生が集まって学習することで、学習意欲も向上するとのことです。
 1ヶ月に2度、土曜日の朝9時30分からお昼まで開かれることから、前日の金曜日中に、どんなことがあっても千曲市から高岡市へ移動しておかなければならず、少し窮屈な日程でしたが、11日の夜はこの施設と隣り合わせの高岡駅前のホテルに宿泊しました。そのため、土曜日は比較的ゆっくりとしました。
 この日は、9時30分から土曜学習を実施する5階へ向かう前に、2階に設けられている高岡市の中央図書館に9時に入り、図書室の様子を拝見しました。多くの中学・高校生が9時の開館の前から何人も並んでいる様子を見ながら、開館後中に入り、ゆとりのある書架の配置と、市民が読書などのために利用する机の配置場所に驚きました。昨年度訪問した神奈川県のある図書館と大きく違っているなと思い、5Fへ向かいました。
 5階ではまず、高岡市教育委員会生涯学習課の青少年・公民館係の池守係長にお迎えいただき、まず、子ども達の勉強の様子を教室内に入って拝見しました。定員30人でしたが、体調を壊している子もいるようで、数席の空きがありました。子ども達がどんな教材を持ってきているのかを見てみると結構「国語」が多いなと思います。
土曜学習現場を視察した後、隣の部屋で高岡市教育委員会・生涯学習課の笹島課長、池守係長、同係の高木主査から説明を受けました。
 私はディーファイルで紹介されていたのをもとに、疑問点などを事前に高岡市側に伝えていました。
その質問項目は、
  1.  中学校土曜学習を始めたのはなぜか。
  2.  なぜ1年生だけが対象なのか。
  3.  教諭のOB・OGと大学生が指導するとのことだが、どのように人選したか。
  4.  このための必要な費用はどうしているのか。個人負担はどうか。
  5.  開始してからの成果はどうか。
  6.  この仕組みを2年生・3年生に拡大していく考えはあるのか。
  7.  中1プロブレムと言われる課題は貴市ではどうなっているのか。
  8.  小・中の垣根を取り払ってのカリキュラム編成を始める自治体が出ているが、貴市ではどうか。
などです。

 高岡市側からの説明では、当初は施設の広さの関係もあり、30人程度の予定で募集したところ、80人の応募があり、1年生を優先したため、現在では中学1年生のみになっているとのことです。
 また、指導方法も、学校の教科書や副教材を活用しながら、わからないところを聞く「自習学習方式」をとっています。子どもによっては、公文などの教材を持ってくることもあるとのことです。講師は元教諭である社会教育指導員に依頼し、学習支援員については地元の大学で募集するとともに、教育学部のある大学に協力を要請したようです。
 支援員に要する費用は、国・県・市の3者で1/3ずつ負担しています。施設利用は市が主催しているので不要で、利用料金も取っていません。現在の土曜学習の評判が良いことから、来年度は対象を2年生まで広げる予定であるとのことです。


土曜学習が行われているビル(右)とホテルが駅前で隣あっている

子ども達が静かに勉強している

土曜学習が入り口に表示されている
 開始してからの評価としては、@学習の見直しを先生と出来るいい機会だ、A集中して取り組めるなどと高評価され、さらに、塾に行かせられないので助かるなどの声もありました。子ども達の学習意欲を高め、しっかりと伸ばしていくことにどんな方法が良いのかは複雑ですし、これという決め手はないかもしれませんが、それぞれの地域にあった、決して押し付けとならない方法を見出していかなければなりません。

2.中村議員が委員会で質問
 中村議員は所属する健康福祉常任委員会で10月12日、直面する多くの課題を取上げ、注目されました。
 中村議員が取り上げた課題は、
  1. 児童虐待対策   … 家庭支援課
  2. 多様な保育のあり方、特に病児保育  … 子育て支援課
  3. 障害者・高齢者関連施設などの防災・安全対策  … 介護事業者課・生活基盤推進課
  4. 民生・児童委員の負担軽減と人材育成(続き)  … 地域福祉課
  5. 福祉医療費の助成制度見直しについて   …  国民健康保険課
  6. 病床の機能分化・連携推進の取組み   … 保健医療企画課
  7. 公衆衛生研究所の一元化問題   …  健康医療総務課
  8. 府の保健所行政のあり方   …  健康医療総務課・保健所グループ
の8項目です。各項目の後ろの課名は、この項目を担当している部局名です。
質問の主なあらましと、当日の質問・答弁は次のとおりです。


「委員長!」と発言を求める中村議員
1 児童虐待対策
 児童虐待の相談件数は増える一方で、さらに最近は0歳児の死亡が増加しています。さらに虐待の種別でも、心理的虐待が驚くほどの増加率となっています。また、親から虐待を受けた者が自分の子供を虐待するという世代間連鎖も多く、これを防ぐ方策を取上げました。

>> 質問 答弁 (PDF形式)
>> 児童虐待の資料 (PDF形式)

2 多様な保育のあり方、特に病児保育
 「保育園落ちた、死ね」という言葉以来、保育の環境整備は国にも地方にも大きな課題となっています。しかし、保育所に入れない人を何とかしたいという「量」の拡大は大切ですが、こればかりが議論されていてはならず、保育の質や形態も十分な喜議論が必要です。中村議員はこの問題を取り上げ、とりわけ、子どもが病気になった時の病児保育などを重点的に質問しました。

>> 質問と答弁 (PDF形式)

3 障害者・高齢者関連施設などの防災・安全対策
 最近、高齢者や障害者らが入所する福祉施設での事件・事故が数多く発生しています。これまでの委員会などでは、無届の有料老人ホーム対策や現場の暴力事件などを度々取り上げてきましたが、今回は特に、認知症高齢者や障害者が入所するグループホームでの安全対策を取上げました。
 火災などが発生した場合、健常者でも非難は大変です。歩行が困難であったりすると非難が大変で、そのためにスプリンクラーの設置は極めて有効です。
 そのようなことから、グループホームなどは一定以上の面積を有する施設だけにスプリンクラー設置が義務付けられていましたが、現在は重度の障害者が80%以上利用する施設は、「すべて設置」が義務付けられました。
 しかし、設置費用が大きいこと、賃貸などの施設が多く家主の了解を得るなどの手続きがいるなどで、設置されていない施設が大半です。これへの対策を求めたものです。

>> 質問と答弁 (PDF形式)
>> 中村議員の質問を大きく取上げた毎日新聞

4 民生・児童委員の負担軽減と人材育成
 前回の委員会でも取上げた民生委員・児童委員の担い手不足対策と負担感の軽減策を引き続いて取り上げたものです。

>> 質問と答弁 (PDF形式)

5 福祉医療費の助成制度見直しについて
 大阪府は乳幼児、ひとり親家庭、高齢者、障害者への医療費の負担を軽減する福祉医療費助成制度を実施しています。府はこの制度を大幅に見直し、持続可能な制度として今後も実施していくために、負担のあり方、対象者などを見直していこうとするものです。
 制度見直しによる新制度は来年後半の実施と言われ、現在は途中経過であるというものの、対象となっている方々や実施主体である市町村から多くの問題点の指摘などがあり、中村議員はこれを取上げ、「セーフティネットとしての役割を放棄するような制度にしてはいけない」と強く指摘しました。

>> 質問と答弁 (PDF形式)


質問する中村議員
6 病床の機能分化・連携推進の取組み
 本年3月に「大阪府地域医療構想」が策定され、団塊の世代の全てが75歳以上となる2025年に向けた医療分野の大きな方向性が示されました。現在、この地域医療構想に基づき、各医療機関が担う機能を整理し、二次医療圏ごとに医療資源の適正化に取組み、病床の機能転換という形で進めています。
 急性期の病床が非常に多く、回復期の病床が約1万床不足すると言われ、その転換を図ろうと考えているものの、170億円ものお金をつぎ込もうとしているだけに、これを取上げたものです。

>> 質問と答弁 (PDF形式)

7 公衆衛生研究所の一元化問題
 府立公衆衛生研究所と大阪市の環境科学研究所を統一し、独立行政法人(民営化)としていく考え方に多くの疑問が投げかけられています。
 中村議員は前回の委員会でもこれを取上げています。特に、東京都と同様の西日本の拠点にすると知事は言ってきたものの、東京都は直営であればこそ機能を十分に発揮できていることから、民営化は好ましくないと質問しました。

>> 質問と答弁 (PDF形式)
>> 資料3 附帯決議 (PDF形式)

8 府の保健所行政のあり方
 大阪府が運営していた保健所が、政令市、中核市に移譲されるようになりました。政令市の大阪市・堺市はもちろんのこと、いま高槻市や枚方市などの中核市が保健所運営をしていますが、中核市の条件が人口30万人から20万人とされたことに伴い、八尾市・寝屋川市なども中核市への意向を表明しています。そうなると、これらの各市が保健所を運営することになりますが、保健所運営は財政的にも人材確保の上でも大変です。そういったことから、中村議員はしっかりとした応援体制とともに、事務の取り扱いでの配慮なども考えるべきだと取上げました。
 この課題は、中村議員の持ち時間の関係で、当初に予定していた質問原稿どおりではなくなりましたが、要旨は質問・答弁のとおりです。

>> 質問と答弁 (PDF形式)


3.定例府議会が始まる

 注目の大阪府議会が始まりました。今議会は12月20日までの超ロングラン議会日程になっています。また、議論される課題も重要案件が目白押しで、相当白熱した議論が交わされるものと思います。

議会に先駆けて行われた政務調査会。
(会派ごとに、担当部局が説明し、
議員から質問する形になっているが、
共産党と民進党は少数会派のため、共同で実施)


 橋下・松井両知事の下、これまでは改革・競争をキーワードに様々な取組みが行われてきました。そして、これは府民の注目度も高く、多くの成果を上げてきましたが、その一方で、多くの問題点も残してきました。公務員バッシングと不当労働行為、既得権益打破という名目で私学助成を大きく後退させるなど、改めていかなければならない課題も多く残されたままになっています。
 とりわけ、大阪都構想(政令市である大阪市を廃止・解体分割して全く統治機構の異なった特別区を作るという考え方)が住民投票で否定されたにもかかわらず、高い人気を利用して選挙の争点の一つとしてまたまた都構想を持ち出し、それも「副首都」という言葉にして再び「期待感」を持たせ、特別区構想を打ち出しています。
二重行政の解消と言いながら、実態は、「大阪市を解体すれば重い事務事業を小さな特別市では運営できないことから、大学の統合、環境科学研究所の府との統合などが打ち出されてきた」というのが正直な見方ではないでしょうか。
いよいよ、その議論が始まるだけに、ぜひご注目ください。

4.注目の案件・課題

 9月定例議会で直ちに結論を出すことはないと言われていますが、「福祉医療費の助成制度見直し」問題、副首都関連として出されている港湾の一元管理、府の公衆衛生研究所と大阪市の環境科学研究所の統一問題や、知事と大阪市長が発表した万博開催問題、財政規律の確保などが中心になると思われます。

  ◆ 府は一般・特別会計合わせて368億円の補正予算を議会に提案しています。このうち大半は国の経済対策に伴う補正で358億円を計上しています。主なものは1億総活躍社会の実現を加速するためとして、児童福祉施設整備費補助金などに6億6千万円、21世紀のインフラ整備として道路改良、連続立体交差などに118億円、イギリスのEU離脱に伴う不安定性などのリスクへの対応や中小規模事業者への支援として4億円、防災対策などに108億円などとなっています。
 今年度予算は740億円もの大規模な財政調整基金の取崩しでやっと編成したことを忘れてはなりません。9月の仮試算では若干改善されたものの、それでも年間560億円程度の収支不足と予測されています。この様な厳しい財政状況の中で、今回の補正予算が妥当かしっかりと検証していく必要があります。

◆ 各会派ともに最重要テーマの一つと考えているのに「福祉医療費助成制度の見直し問題」があります。現在、老人医療・障害者医療・一人親家庭医療・乳幼児医療の4つがあり、1医療機関あたり、入院・通院1日につき500円以内(月2回限度)、1ヶ月あたり2500円を超える分を償還しています。
これを府は、@今後、高齢化の進展や医療の高度化に伴って、医療費が大きく膨らむこと、A精神障害者と難病患者も制度に加えることなどで対象者が大幅に増加し、現行制度のままでは制度を維持できないとし、「施策そのものを再構築」するとしています。府議会に示した案(途中経過)では、
@福祉医療費の総枠を抑制するためではないか、
A弱者の生活実態を全く理解していない、
B関係者の意見を十分に聞かず余りにも拙速だ、
などの厳しい声が関係者から出されています。
中村議員はこの間、難病患者の会や精神障害者親の会、高齢者団体、障害者団体連絡会などの役員らと相次いで意見交換し、負担の押し付けとならないよう精いっぱい検討していきたいと答えました。
議会に示した案(途中経過)では、
@福祉医療費の総枠を抑制するためではないか、
A弱者の生活実態を全く理解していない、
B関係者の意見を十分に聞かず余りにも拙速だ、
などの厳しい声が関係者から出されています。
 中村議員はこれらを受け止め、引き続いて当事者の意見などを聞いていきたいとしています。

◆ 副首都推進本部で掲げている多くの課題の内、大阪湾にあるいろいろな港を一元的に管理しようという議案が出されています。
 今議会では、大阪市の管理する大阪港、府が管理する堺泉北港と阪南港の3港湾を一元的に管理することによって、@港湾計画策定・ポートセールスが可能になる、A広域的な港湾防災と海岸防災の構築が可能になる、B利便性が向上し組織運営の効率化を図ることができると説明しています。この議案は府・市ともに連続して否決されてきました。今回の議案はこれまでと少し違い、港湾委員会の役割を見直すなどしていますが、神戸港との関係はどうなるのかなど疑問点も多く、しっかりとした議論が必要です。

◆ 国民健康保険運営協議会関係
 いま国民健康保険は、市町村が主体になって運営していますが、運営主体の自治体自身の体力が弱いこと、さらに高齢化などに伴って、「国民健康保険」の運営がますます苦しくなってきているため、これを都道府県に主体を移すことが法律で決められました。そのため、都道府県の国保会計の運営方針などを審議していくための必要なことを定めようとするものです。

◆今議会で注目される議案などはこの他に、
・府立大と大阪市立大の統合問題
・府公衆衛生研究所と大阪市環境科学研究所の統合
・府産業技術研究所と大阪市工業研究所の統合
・府立能勢高校の分校化
・府立西淀川高、北淀校、大正校、泉尾高の再編整備
等があります。


5.知事の議会冒頭の挨拶と所信

 松井知事は議会開会冒頭の議案提出理由の説明に先立って、「府政の課題に対する私の考えを申し上げる」と発言し、「私は2期目のスタートに当たって、豊かな大阪を実現することを府民に約束した。成長と安全・安心のよりよき循環によってその実現を図る」と述べました。  知事はそのためにも、副首都・大阪の確立をしたいと、「戦略的な取組みのため、副首都に向けた中長期的な取組み方向の中間整理案を取りまとめた。議会での議論を踏まえ、年度内に成案化したい」と述べました。  これに基づいて、府市統合案としての、府市の様々な施設等の一元化をめざすとし、産業技術研究所、公衆衛生研究所、大学、港湾などを挙げました。  さらに、「2020年オリンピック終了後の日本の成長をけん引する仕掛けが2025年の大阪万博開催だ」と述べ、今後、議会の議論を踏まえて基本構想を取りまとめていくとしました。  この知事の所信については僅か5分あまりでしたが、その大半が副首都構想、大阪の成長に触れており、これ以外では、南海トラフなどへの備え、保育の充実、財政規律に少し触れただけで、維新の代表として、日頃の維新の目玉政策を述べた感じでした。  誰が考えてもしっくりと来ない府市の事務一元化ばかりが目立ち、府民の切実な福祉医療費の助成制度見直し問題などには触れず、残念でした。    

>> 知事の挨拶と提案説明の全文 (PDF形式)


6.中村議員が各種団体と意見交換を相次いで行う

 9月定例会の予定は前半が10月25日まで、その後、決算審査などを経て12月20日に閉会する予定です。
 この議会予定に合わせて、府議会の各会派に対し、各種団体などから様々な要望や議会請願の署名人になっていただきたいという申入れが出てきます。中村議員は各種団体との意見交換などの取組みを毎年、この時期にしっかりと実施してきました。 中小企業家同友会、大阪腎臓病患者の協議会、難病連、連合関係の労働組合、母子寡婦福祉会、社会福祉協議会関係などと、連日要望受けが続き、中村議員は、「会派としては以前のように多くの議員が在籍していないが、精いっぱい取組む」と答えています。

7.熊本地震の復興はまだ時間が
― 健康福祉委員会で熊本県を訪問 ―

 中村議員が所属する府議会・健康福祉常任委員会は8月22〜23日、熊本県を訪問しました。視察先は熊本県の医療の拠点である熊本赤十字病院、熊本大学病院で、今回の視察調査内容は、
(1)災害医療
  1. 震災直後の災害医療の実態
  2. 災害医療現場での課題は何か
  3. 全国からの医師・看護師らの応援体制はどうであったのか
  4. 阪神淡路大震災以後、災害医療はどう変わったか
などです。
 さらに、
(2)今日の高齢者の「嚥下障害*1」が相当増加していることから、これに取組む担当医師から現状と課題を聞く
 *1 嚥下障害 「物を食べる」というのは、食べ物を「口に入れ」「噛んで」「飲み込む」一連の動作で、嚥下といいます。しかし、飲み込むとき、普通は食道へ流れていくものですが、一部を気管へ流し込んでしまうことがあります。この障害によって、特に脳梗塞や筋疾患などが高い率で起こります。また、高齢者の肺炎のかなりの部分は、嚥下機能の低下による誤嚥によって引き起こされるともいわれています。

(3)赤ちゃんポストで有名になった慈恵病院の具体的取組と児童虐待・特別養子縁組などの実態、子どもの貧困対策としての子ども食堂の運営、さらに熊本乳児院では赤ちゃんポストなどを通じて入所している子ども達の現状などを調べることです。
 調査内容の詳細は別にご報告しますが、空港到着後視察が終了するまでを順に写真でご報告します。
 中村議員らは伊丹空港から熊本空港へ向かいましたが、熊本空港に着陸する寸前、機内から見える空港周辺の住宅の屋根にはまだ相当のブルーシートがかけられていました。座席が通路側だったため、残念ながら写真を撮ることが叶いませんでした。
 議員団はマイクロバスで移動しましたが、車窓からは家屋の倒壊や道路の損壊などがすぐに飛び込んできます。


民家が傾いたままで放置

民家が傾いたままで放置

地震で橋も傷ついたが、道路の地盤が1m程下がり緊急工事がされていた

この体育館の中には今も多くの避難生活を続ける人達がいる

赤十字病院の中島副院長が災害医療の説明

中島副院長は、「今回の地震で感じた一番の問題は避難場所の確保と運営だ」と指摘。阪神・中越・東日本などの大地震を経てきたのに、いまなお避難場所は全く変わっていないことは問題だと指摘された。(写真に写っているのはヨルダンのテント)

熊本大学での嚥下障害の説明

人の呼吸と食べ物がのどを通る際の仕組みを説明

熊本乳児院の傘(からかさ)院長が乳児院の課題や取組みを説明

乳児らの体温・呼吸・心拍数などを知らせる機器がベッドのマットレスの下に設置され、異常がすぐに知らされる

こども食堂の説明

赤ちゃんポストの説明をする武田看護部長

空港へ向かう途中車窓から熊本城の被害現場を見る
 写真でもお分かりのように、空港周辺では至る所に倒壊した家屋が見られ、地震の大きさが伝わってきます。

8.松井知事に提言と要望

 民進党議員団として中村議員は8月16日、松井知事に対する「平成28年9月議会、平成29年度当初予算に向けての提言・要望=以下、夏の提言」を提出しました。(この日は知事不在のため、栄野政策企画部次長に)  今年夏の提言は、8分野・53項目で構成しています。8分野は
  1. 府政の信頼を築く
  2. 平和と人権・自治を尊重する
  3. 子ども・女性に笑顔を
  4. 福祉・医療の充実
  5. 人を育てる教育
  6. 人を育てる教育
  7. 勤労者・中小企業・大阪を元気に
  8. 安全なまちを
でまとめています。
      提言・要望の全文<PDF形式>

 この8分野・53項目の中で、中村議員は特に強く主張したのは、
  1. 財政規律をしっかりと守ること
  2. 保育の充実では、最近の動きは待機児童の解消のための「量」の拡大ばかりが議論され、保育の質や保育の形態などがおろそかになっている
  3. 社会福祉の分野では、人材の確保と、施設における虐待などへのしっかりとした対応が進むよう、施設への抜き打ち検査などを整える
  4. 私学助成では、私学の58万円のキャップ制度の見直しを行う
  5. 国家戦略特区では、例えば、民泊問題などでは、受入れをしやすくする動きが目立つが、そこに住む住民の思いに対応できているとは思えない
  6. 都市インフラの老朽化対策のため、今の予算枠だけでは困難だ
と、指摘しました。
 さらに中村議員は、「昨年の大阪市を廃止し特別区をつくる、いわゆる都構想=政令市廃止・特別区設置問題が、住民投票で決着したはずであるのに、またまた『副首都』というオブラート表現で甦らせようとしている問題については、あえて今回の提言・要望では触れない。別の機会に譲る」としました。

 大阪府議会議員 中村哲之助ホームページ