西村寿雄著 『地球の発明発見物語』紹介

   近代文藝社  1,680円 2010年12月刊
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ISBN978-4-7733-7739-2 C0044



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はじめに

 
この本の前半は、悠久の歴史を持つ地球の発明発見物語です。とらえどころのないような大きな地球の姿を、人類がどのようにとらえ、どのように謎をといていったかのお話が中心です。
「化石」ひとつにしても、今のみなさんにとっては、それほど珍しいものでないかも知れません。しかし、初めて山の中から貝殻が出てきた時、「なぜ、貝殻が山の中にあるのか」人々は不思議に思いました。人々は空想をめぐらし、たんねんに地層を見ながら、長い年月をかけて、山の中から出てくる貝殻は、かつての海の生き物の殻であることをつきとめました。化石を通じて、地球の歴史を予測し、地表の変化を知りました。
 3000年も昔から、すでにギリシャの国では科学や芸術が芽生えていました。しかし、その後の社会の移り変わりによって、ヨーロッパではギリシャの科学や芸術は受け継がれなくなりました。神がこの宇宙を創ったという考えが強くなり、自由な科学研究を続けることが難しくなりました。しかし、ブルーノやガリレオと同じように、ときには、命をかけて自然の道理(法則)を追い求めていく地球の研究者もいました。
1600年頃になると、やっと近代科学が芽生えてきました。電気や磁気の発明をはじめ、物質の姿(原子の構造)も解明できる時代になり、地層や岩石の研究も進みました。1900年代になると、さまざまな科学技術の進歩によって、地球の内部の様子も解明できるようになりました。こうして、地球の全容が、科学的にほぼわかるようになってきたのはほんの数十年前です。
 前半では、長い年月をかけて地球の姿を解明してきた人間のエピソードを紹介しています。
 後半は,地球上に点在する不思議な地形に魅せられた人間の姿を描いています。

 あまり細かなことはさけて「地球の発明発見物語」としてまとめてみました。私たちが、今、知ることのできる地球に関する知識も、人間の長い研究の成果とつきない興味のたまものであることを感じてもらえればうれしいです。

                                     2010年12月25日
                                                 西村 寿雄  
           目   次
 はじめに
    (1)人間の歴史から地球の歴史へ
    (2)「大地は変化する」と説いたピタゴラスとストラボ
    (3)化石の研究を始めたレオナルド・ダ・ヴィンチ
    (4)「化石は生物の遺骸」と説いたステノ
    (5)「地球は火の玉」と発表したビユホンとデマレ
    (6)花こう岩の謎ときにかかったハットン
    (7)地層の年代をひもといたスミスとマーチソン
    (8)古代生き物をよみがえらせたキュビエ
    (9)「地表の変化はゆっくりとすすむ」と説いたライエル
    (10)氷河の石を発見したアガシイ
    (11)「地球はちぢんでいる」と主張したジュース
    (12)「大陸は動いた」と仮説をたてたウエーゲナー
    (13)地球の中は液体か固体か
    (14)地球の内部を探ったモホロビチッチ
    (15)石ころにひそむチャートのふしぎ発見物語
    (16)命のつながり
    (17)たくましく生きてきた人類
    
    (18)〈地球の芸術〉探検物語
    (19)凍土から姿を現したマンモス
    (20)地下からよみがえった古代都市
    (21)塩でできた山を歩く若者
    (22)石炭と石油発見物語
    (23)鉱物発見物語
  あとがき  
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