仮説実験授業と読み物

  (「たのしい授業の役割と教育改革」の一部)

1999年10月23日 四条畷学園にて

仮説実験授業が「たのしい授業」になる条件の一つに科学読み物があるのです。
 仮説実験授業は、問題、予想、討論と実験の繰り返しで成り立っていることは明
確ですが、少し仮説実験授業が身に付いてくると、読み物が大事だということがすぐ
分かります。実験で「ワー」というのは楽しいですが、読み物の時はシーンとしていま
す。しかし、「読み物が重要だ」ということは、こどもたちの感想文を書いてもらうと
すぐに分かります。子どもたちに「この授業書を勉強して一番印象に残っているのは
何ですか?」と聞くと、ほとんどのクラスで、「読み物」をあげる子どもがたくさんいます。
 それは、授業書の中でも「読み物」の部分には、その教わった知識の哲学的展望、
実用的展望が書いてあるからです。
 ギルバート博士の「地球は磁石だ」という読み物も雄大です。「地球は磁石だ」と一言
で言われたら、「ああ、そうなの」でおしまいですが、地球は磁石であるということが、
自分が研究したような感じで分かってくれば「すごいな」となります。 そういう知識は役
立つのです。
 ある一つの知識に至るまでのことを知り、そして地球は磁石であるということが分か
れば、「人間って偉大だものだな」、地球の磁石を取り出すなんて。地球の磁石が分か
ってしまった。」と、特別にエリートでない子どもたちか゛言うのです。

 

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