小鶴津(高知)
2013年03月12日
南海地震・震源断層をさぐる
高知県南部は四万十帯の付加帯が続いている。
四万十帯はチャート,石灰岩,砂岩,泥岩などがごちゃまぜに入り込んでい
る。いわゆる陸上からの堆積物と海洋での深海での堆積岩とがブロック
状に入り交じった層(メランジュ)で,それぞれの層理面も一定しない。
小鶴津の海岸には,南海地震による震源断層が顔を出している日本唯
一つの場所である。海溝にあった陸生堆積物のタービダイト層と海洋堆
積物の玄武岩層との間に大きな断層が生じている。断層ズレによる鏡
肌や断層運動によって生じた熱によって溶結しているシュードタキライト
(Pseudotachylite)などが観察できる。
ただ,現地は100mほどの急崖をロープをたよりに海岸に下る過酷な場所で,
地元の人の案内なしでは危険な場所である。今回,地元四万十町職員の方,
町遺跡調査会の方,漁業組合の方の案内でかろうじて見学することができた。
鈴木堯士・吉倉紳一編『大地が動く物語』 南の風社 参照