第ニ章 泣き笑い・市民相談


一、鈴木式『市民相談カード』
『カエルの鳴き声がうるさいので、なんとかしてくれ』
『グァム島のゴルフ場の予約をできないか』
『おいしいウドン屋さんを紹介してほしい』
相談して来られる方は、それなりに真剣なのでしょうが、自分でも
「こんなことまでするのかな?」と、ときどき首をかしげたくなることが
あります。
 こんな珍妙なものや、簡単な問い合わせは別として、当選以来
今日までに、寄せられた相談事は1266件になりました。
 深夜、早朝、時間に関係なく、いつ火急の用がおきるか
わかりませんので、家にいても、落ち着いてお酒も飲めません。
 折角、相談に来られたのに遺漏があっては困りますので、左の
ような「鈴木和夫市民相談力−ド」を作り、いつも携帯しています。
 私の七つ道具(市民相談力−ド、市議会手帳、電子手帳、
筆記用具、財布、名簿、ポスター名刺)の筆頭です。
 相談者の紹介者をメモできるようにしていますが、これは初めての
人が、私に直接連絡して来られることはまれで、ほとんど紹介者が
いて、内容によっては、紹介者にも報告するからです。
 相談者がスムーズに処理できて、相談者の笑顔を見るときは、議員冥利に尽きるというもので、私も
一日中ウキウキして楽しいものですが、ときには、いくら努力しても不可能なこともあります。
そんなとき、『言ってもやってくれない』と、思われてしまうと、情けなくなるものです。
 また、ちょっと寂しいなと思うのは、相談後の連絡のないことです。
 あるとき、「事業がうまくいかないので、会社勤めをしたいから、どこか就職先を紹介してほしい」という
相談がありました。
 履歴書を見ると、就職するには少し年齢が高い男性なので、むずかしいかなとと思いながらも、知人の
会社に頼み込んで、採用にこぎつけました。
 その後、本人からは何の連絡もなかったので、てっきり、機嫌良く勤務しているものと思い込んでいました。
 しぱらくして、様子を見に寄ってみると、とっくの昔にやめてしまって、その会社にはもういなかったのです。
 無理をきいてくれた知人から、逆に、「気にやむことはない」と慰められましだが、やはり、釈然としない
気持ちを引きずって帰りました。
 でも、こんなときには、「俺は、全力を尽くして、やるだけやったんだ。次に、また挑戦したらいいじゃ
ないか」と、自分を励ますことにしています。
だから、1266枚の市民相談力−ドは議員である私にとっては何よりの宝だと思っています

二、国の宝
 ある日、私のもとに小学校の父兄の方から、次のような投書がありました。
 『担任の先生が、授業もろくにせずに、休んでばかりいるし、父兄に個人的なことばかり頼みに来て
困っている』
 『片口聞いて公事をすな』の例えもありますし、念のために他の父兄にも確認したところ、同じような話が
返ってきましたので、教育委員会に抗議すると、学校に事実確認をしてから返事するとのことでした。
 しばらくして、「事実であり本人も反省している」旨の報告がありましたが、学校側の対応が怠慢に思えて、
議会で取り上げることにしました。
 そうすると、校長はPTAの役員を使って、私の議会質問をやめさせるような行動に出てきました。
 全く、「臭いものにフタ」式の、教育者としてあるまじき卑劣な態度です。
 当然、私は議会で取り上げました。 
 後でお詫びに来られましたが、私に謝るよりも、子供たちや父兄に対して、素早い対応をしてほしかった
のです。
 今、教育の荒廃が叫ばれていますが、一番の犠牲者は子供たちです。
 偏差値偏重教育の弊害も取り沙汰されて久しくなりますが、「偏差値の低い子=無能な生徒」ではない
はずです。
 必ず、キラリと光る個性がありますので、大きく育ててほしいものです。
 古くから「子供は国の宝」と言いますが、彼ら一人ひとりがかけがえのない、才能を秘めていると期待
しています。
それを花開かせるのは、教育現場のみならず、私たちも含めた大人の責任です。


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