第三章 いい枚方(まち)・いい市民(ひと)・いい笑顔


一、水道料金を安くする法
 私たちの街・枚方は、京都と大阪の往来に重宝されていた三十石船に「飯くらわんか」と、飲食物を
売っていた「くらわんか舟」で有名ですが、近年、肝腎の淀川の水が汚くなっています。
 枚方市の水は、淀川の磯島で取水し、中宮浄水場で飲科水にして配水していますが、排水は上流にある
渚下水処理場で処理した後、再び、淀川に戻しています。
 つまり、下水処理したきれいな水を、再度汚れた川に放流して、また下流で取水・浄化しているわけ
ですが、考えてみると無駄なことですね。
 現在の下水道の浄化処理技術では、最終下水処理水と水道水の水質が、ほとんど同じレベルまでなって
いるので、極言すれぱ、そのまま飲めるということです。
 それより、下水処理水を川に放流せずに、そのまま直接、水道の浄水場につなぐという、「水の閉鎖
循環利用システム」を採用すれば、浄化処理コストが抑えられ、水道科金を安くすることができると
思います。
 下水処理水をそのまま水道水にすることについては、まだ不安がありますので、ドイツのように、いったん
地下に戻して、地下水として蓄える方式もあります。
 また、国技館や東京ドームでは、屋根に降った雨水を貯溜槽にためて、水洗トイレや冷房などの
雑用水として、利用する雨水利用システムが活躍しています。
 これなど、水資源リサイクルのためにも、官公庁や工場などの建築物に、採用できるのではないで
しょうか。
 あるいは、雨水浸透桝の使用や、道路舗装に浸透性アスファルトを使うことで、雨水を地下に浸透させ、
地下水をよみがえらせることも大事だと思います。

二、化粧する街
 枚方市のイメージを聞いてみると、ごちゃごちゃした街、狭い道路の街、交通渋滞の街、という答が
返ってきます。
 枚方市は人口急増都市なので、学校、道路、下水道整備に追われ、言わば、その場しのぎの、泥縄式の
街づくりで、長期的な展望に基づいた都市計画ではありませんでした。
 しかし、これからの街づくりには民・産・学・官のチームワークによる長期展望による都市計画が求め
られます。
 しかし、都市基盤を整えることだけが、都市計画とは言えないようです。
 車にしても、動けば良かった時代から、スタイルやイメージが良くなかったら売れない時代になっています。
 新しい街づくりも、都市機能の充実とともに、「街を美しくよそおう」という意識が必要とされるのではないで
しょうか。
 つまり、『絵になる街』になるために、街がお化粧することです。
 そのために、私はあらゆる議会発言の機会をとらえて、仮称・枚方市都市景観条例や美観条例、都市
デザイン条例の創設を訴えてきましたが、市もようやくプロジェクトを組み、条例創設に向けての準備作業に
かかってくれました。
 これは、京街道の保存や住宅環境の保全、淀川の自然景観の保全、建築物のデザイン賞の創設などを
盛り込んだ内容になっていますが、施主(市民)と建築会社、設計事務所、行政が上手に連係すれば、
きっと、枚方の街を美しくできると信じています。

三、学校とマンションが同居する街
 飛行機で大阪上空にさしかかると、モザイク模様に、ぎっしりと建った家並みが見えますが、ところどころに
広い空き地が見えるのは、学校のグランドです。
 どこの行政でも、事業計画を立てて、まず最初に頭を悩ますのは、用地の確保の問題です。
 夜間や日曜日は閉鎖しているのですから、都市部の小、中学校ほど土地利用効率の低いものは
ないでしょう。
 逆の見方をすれば、地域の再開発ができるのは、学校用地であると言えますので、学校の土地の高度
利用や地域利用で、社会資本の再開発が可能になります。
 例えば、校舎の三階までは教室で、四階以上を分譲マンションにして、その販売利益で、校舎の建設費を
賄うというのはどうでしょう。
 公営住宅にして、安い家賃で供給することもできます。
 また、体育館の上に、公民館を作ることができるかもしれません。
 そう言うと、住宅難で困っている建設省は賛成しても、学校を管轄する文部省は、風紀や治安問題を持ち
出して、反対するでしょう。
 欧米では、学校は地域のコミュニティの代表格です。
 学校の授業が終わると、後は、地城の人たちが、自由に教室や体育館を使うことができます。
 一方、日本では、『空き教室を開放すべきだ』と、いくら声高に言ったところで、管理に問題があるの
一点張りで、いっこうに進歩が見られません。
 空き教室検討委員会が発足しましたが、いまだに結論が出ていません。

四、街おこしとスポーツ
 我が枚方市が、プロ野球の球団を持ったとしたらどうでしょうか。
 強かったら、勿論、大応援団が繰り出すでしょうし、よしんば、どこかの球団のように弱くても、そこそこ
可愛がってくれるでしょう。
 良く「愛される街づくり」と言いますが、愛される街とはどうしたらできるのでしょうか?
 私は、他に誇れるものがあって、それに対して、共通の意識を持つところに、連帯感が生まれ、それから、
郷土愛が培われてくると考えています。
 戦後の日本の産業の歴史は、重工業から自動車産業、情報産業から環境産業へと変化してきました。
 90年代から21世紀にかけては、おそらく、スポーツ産業の時代が到来すると考えられます。
 自動車のスピードレースの「インディ500」で有名な、アメリカのインディアナポリスは、スポーツ産業
都市として、全米から注目されています。
 スポーツ施設を中心に再開発を行い、全米からアマチュアスポーツ団体を次々と誘致して、メジャー
スポーツ大会を開催するなど、スポーツによって、活性化に成功した都市です。
 枚方は、地理的にも、近畿の中心に位置しますので、多くのスポーツイベントの街として売り出せる
可能性があります。
 取り立てて、特徴のある街ではありませんが、かつて、宿場町として大いに賑わったこの街を、
ただ単なる、ベッドタウンや通過都市にしてしまうのは情けないことです。


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