151 2006年11月号
全国初の条例案を議員提案

メセナ自販機売上げで文化振興 府民と設置者協力で新しい制度を

 文化は、生活に潤いと誇りをもたらす重要なものでありながら、厳しい財政難で、どこの自治体でも軽視
されがちなことから、平成16年2月議会の代表質問で、大阪で販売される飲料などに一個あたり1円程度の
寄付金を募り、大阪の文化振興にあてる「仕掛け」づくりをすべきと提言しました。(本誌120号参照)
 太田府知事からは「興味深い手法と考えられるので、今後、府民や企業の共感が得られる対象事業や
方法など、その実現可能性について研究する」と答弁がありました。その後、担当部局の生活文化部
文化課と実現に向け協議を続けましたが、対応は鈍く遅々として進むことはありませんでした。そこで、
議員として実現を促進させる手段のひとつである条例提案の道を選択しました。
 自民、民主にも呼びかけましたが調整がつかず、公明と府民ネットおおさかと共同で全国初の「メセナ
自動販売機による文化貢献条例案」を、9月府議会に提出しました。 条例案を提出したのは、従来の税金から文化振興を賄うという発想から、文化を生み育てる気風のある
大阪府民から広く薄く募ろうというもので、メセナ自販機の缶やペットボトルの飲料を買うと一本につき
1〜2円を文化振興への寄付金として大阪府に委託するシステムです。
 寄付金を売り上げに上乗せするのでなく自販機の設置者や管理者である事業者の協力を得るため、
他の自販機と値段は変わりません。
メセナ自販機と表示されるため他の自販機と比べ「増収」が期待できるはずです。
自販機を通じた1回の寄付金はごく僅かですが、子供から大人まで身近で参加できる新しい寄付制度が
大阪府民の文化貢献として定着することを願っています。
 文化力は、経済力と並ぶ車の両輪として、活力ある社会の実現に欠かせない力で、文化振興により
大阪経済の再生に大きな期待が持てます。
条例案は、教育文化常任委員会で審議され、12月議会には結論が出る予定です。
メセナ自動販売機による文化貢献条例(案)
(趣旨)第1条 この条例は、多くの人々が気軽に府の文化振興に貢献できるよう、自動販売機の売り
上げの一部を寄付するという事業者によるメセナ活動(事業者が社会貢献の一環として行う芸術・文化の
支援活動をいう。)の促進について必要な事項を定めるものとする。
(定義)第2条 この条例において「メセナ自動販売機」とは、府内に設置されている飲料(アルコール分
一度以上のものを除く)を販売する自動販売機で、その設置者(自動販売機を設置している者をいう。)
又は管理者(自動販売機の商品管理や売上金回収等を行っている者をいう。)が一缶又は一本など
単位当たりの販売代金のうち一定の金額を、大阪府文化振興条例(平成17年大阪府条例第10号)
第4章各条に掲げる府の施策に対し寄付することとしたものをいう。
(府の責務) 第3条 府は、府内に設置された自動販売機の設置者や管理者に対し、メセナ自動
販売機を導入するようの普及に努めるものとする。
2 府は、メセナ自動販売機について積極的に府民への周知を図らなければならない。
(協定の締結及びメセナ自動販売機の明示)
第4条 メセナ自動販売機の設置者又は管理者は、寄付の金額、寄付の使途及び契約期間等を定めた
協定書を府と締結しなければならない。
2 メセナ自動販売機の設置者又は管理者は、メセナ自動販売機である旨を明示するものとする。
(顕彰制度)第5条 府は、メセナ自動販売機の設置者又は管理者のうち、特に顕著な功績のあった
ものに対し顕彰を行うものとする。
(附則) この条例は、平成19年4月1日から施行する。
***** メモ *****
☆大阪府内の自販機による清涼飲料推定販売額は1667億9840万円
☆本数換算すると12億3543本(1本135円)
☆1割の自販機に協力してもらうと1本当たり2円の寄付で2億4700万円が集まる
☆清涼飲料自販機設置台数15万6000台
日本自動販売機工業会平成17年度版より


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