170 2008年8月号
7月臨時議会で予算案成立

大幅な人件費や議会費削減 国負担金・補助金制度が障害

  平成20年度の一般会計予算案は、昨年度と比べ10.2%減の2兆9247億円で、7月23日の府議会で自民、民主、公明の賛成多数で可決しました。原案から職員人件費を一般職基本給の削減率4〜12%を一律0.5%引き下げて329億円の削減。職員の平均基本給32万4412円はラスパイレス指数が90程度となり、全国最低レベルになります。
私学助成も大幅な後退になります。授業料軽減助成は所得水準を緩和しましたが、経常経費は、幼稚園2.5%、小中学校25%、高校10%の削減率となり、特に小学校は全国35位、中学校は全国最低の47位にダウンし、今後の私学経営の悪化や授業料値上げにつながると思われます。私学の現状を把握しながら引き続き削減緩和に全力をあげたいと考えています。
 府議会でも、財政危機打開に向け議員報酬、政務調査費をそれぞれ15%削減しました。議員報酬は一人あたり13万9500円削減で総額1億8810万円削減。政務調査費は同8万8500円削減で総額1億1894万円削減。日額費用弁償も全国初の廃止にして5899万円削減、管外旅費の日当分削減で118万円、議長交際費の全廃で184万円削減。その他に海外行政調査の取り止めで2226万円削減し、総額3億7286万円を削減しました。あとは議会改革の柱である議員定数の削減が残っています。
 これだけの削減を府の努力で行っても、府民生活が向上するわけではありません。
 歳入の柱である法人2税(法人事業税・法人住民税)は、昨年度より586億円も落ち込み、当初予算からも360億円の見込み違いです。平成22年度には法人事業税の半分が国税に切り替わるため更に減収になります。景気に左右される都道府県の税収制度が足かせで、府独自の改革にも限度があります。
 さらに、国が行う道路新設や河川改修では、地元自治体に3分の1の負担を義務づけられている国直轄事業負担金制度も課題の一つです。国が計画している大戸川などの淀川水系の4ダム事業建設では、試算で250億円以上の府負担金が求められています。
 これまで地元自治体の意向を無視した押しつけの国事業はたくさんあります。反対に地方自治体の行う事業に国が補助金を出す仕組みも地方主権に逆行するものです。「アメとムチ」による国の関与を改めるべきです。
この機会に、地方税財政の仕組みを変えなければ、大阪はもとより地方自治は成り行かない状況です。今月下旬に、橋下知事と府議会で国へ働きかけていく予定です。
 いずれにしても、教育や福祉などの事業費の削減で、府民が負担増を強いられ、「痛み」が出てくるのはこれからです。
4医療費公費負担助成事業の1割負担案、障害者就労支援カットやワッハ上方、国際児童文学館の存廃など来年度に向け決着しなければならない多くの課題を抱えています。 (一筆啓上も参照してください)


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